秀逸なデザインとホンダらしさあふれる走りが魅力! ホンダ「ビート」を振り返る
1991年に誕生したホンダ「ビート」は、軽自動車では初となるミッドシップオープン2シーターです。自然吸気エンジンながら64馬力を誇り、クイックなハンドリングや小気味良く入るシフトチェンジなど、立派なスポーツカーといえます。そこで、ホンダ「ビート」はどんなクルマだったのか振り返ります。
軽自動車初のミッドシップオープン2シーターがデビュー
1980年代の終わり頃から軽自動車でも高性能化が進み、庶民の足だけでなくスポーツドライビングも可能になりました。
そして1991年に、突如現れたのがホンダ「ビート」です。モーターショーなどで事前にお披露目されることなく、いきなりのデビューでした。
注目されたのは軽自動車では初となるミッドシップオープン2シーターだったことで、1990年に発売されたミッドシップスポーツカー「NSX」の存在もあり、ビートも大いに注目されました。
そこで、いまも愛好家が数多く存在するビートとはどんなクルマだったか、振り返ります。
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1991年5月16日、ホンダは軽自動車ではこれまでにないミッドシップオープン2シーターの「ビート」を発売しました。
ちょうど同時期にオートザム「AZ-1」、ホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」と、イメージが近い軽スポーツが誕生したことから、後に軽自動車の「ABCトリオ」とも呼ばれました。
前述のとおりビートの誕生は突然で、情報のリークも無かったことからかなり注目されます。
一方で、開発は550cc企画時代から始まっており、試作車として「VCR」というミッドシップオープン2シーターのモデルがあり、これがビートの原型です。極秘裏にプロジェクトが進んでいたことから、ビートのデビュー後に、イベントで一般に公開されました。
ビートのボディサイズは全長3295mm×全幅1395mm×全高1175mmとかなり低く、着座位置も低かったため体感的なスピードが速く感じられたほどです。
デザインはあらゆる角を丸くしたことで軽自動車ながらカタマリ感があり、キャビンは中心よりもやや後ろに配置した絶妙なバランスで、低いボンネットからリアまでなだらかに上昇するラインが美しさを表現。
ビートはソフトトップを採用し、開閉は手動ですが作業は簡単で手軽にオープンエアモータリングが楽しめ、ソフトトップを開けても閉めてもスタイリッシュでした。
内装はかなりタイトで、センターコンソールをやや左にオフセットさせることで、ドライバーのスペースが優先されました。
シートはゼブラ柄を採用するなどポップな印象で、運転席側はスライドとリクライニングが可能でしたが、助手席はスライドのみと割り切った設計となっています。
ドライバーの正面には3連のメーターを設置。オートバイをイメージしてデザインされており、真ん中には1万回転まで刻まれたホワイトのタコメーター、右に同じくホワイトのスピードメーター、左にはブラックの水温計と燃料計に各種警告灯が配置されています。
なお、センターコンソールにはDIN規格のスペースは無く、オプション設定された専用のオーディオ以外は取り付けができませんでした。
また、収納スペースはミニマムで、フロントのボンネット内にはスペアタイヤが置かれ、リアにはエンジンの後部に小さいトランクがありますが、三角表示板を入れると小物しか入りません。
室内には助手席の後ろに車検証などを入れる物入れがありますが、週刊誌2冊程度の奥行きしかなく、グローブボックスもかなり小さいもので、左右のシートバックの間にも物入れがありますが、オプションのサブウーハーを取り付けるとスピーカーボックスとなってしまいました。
ただし、オプションでリアフードに荷物を搭載できるキャリアが用意されていたのと、ソフトトップを閉じていれば、乗員の頭の後ろにスペースがあるため、持ち物を厳選すればふたりで一泊程度の荷物は十分に積むことも可能です。
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