ホイールは軽いほうがイイはウソ!? バネ下重量を見直してみた

スポーツカーのチューニングメニューのひとつとして、バネ下重量の軽量化というものがある。具体的にはホイールをより軽量のものに交換する事が多いのだが、バネ下重量を軽くした場合のメリットとデメリットを解説する。

ところで、「バネ下重量」とはなんぞや?

 クルマの操縦安定性や乗り心地に大きな影響を与えるといわれる「バネ下重量の軽減」。では具体的に、バネ下重量とは何を指しているのだろうか。

バネ下重量を軽くするための手っ取り早い手段として、軽量ホイールに交換する方法が挙げられる
バネ下重量を軽くするための手っ取り早い手段として、軽量ホイールに交換する方法が挙げられる

 バネ下とは、文字通り「バネの下」を指している。クルマの場合でいうと、車体をリフトで持ち上げた際、サスペンションに使われているスプリングによって吊り下げられている部分のことを指す。

 サスペンションアームや、ナックルとホイールを取り付けるハブ、ブレーキローターやキャリパーといったブレーキシステム、そしてタイヤ&ホイールがそれにあたる。

 ではなぜ、バネ下重量を軽くすると、操安性や乗り心地に変化が起きるのだろうか。

 走行中、クルマのサスペンションは常に路面からさまざまな力を受けている。カーブを曲がるときはもちろん、真っ直ぐ走っているときも、路面のうねりによってサスペンションは上下し、荒れた路面を走っているときには、細かな振動を受け続けることになる。

 このように常に動き続けているものが軽くなれば、動きやすくなるというのはイメージできるだろう。クルマではバネ下重量を軽くすると、サスペンションが動きやすくなり、それがステアリングを切ったときのレスポンスの良さや、加減速の性能、乗り心地に影響を与えることになるのだ。

 そのため、速さを求めているレーシングカーは、バネ下重量を軽くするため、さまざまな工夫が凝らされている。サスペンションアームは、形状だけではなく、素材から軽量化が図られ、過去には鋳鉄製がほとんどだったブレーキローターは、いまやカーボン製が主流となりつつある。また、ブレーキキャリパーも、形状の工夫などによって軽量化され、ホイールも軽さを求めてさまざまな工夫がされている。

●手軽にバネ下重量を軽くするには?

 しかし、我々が街乗りで使っている市販車で、バネ下重量を軽くしようと思っても、それほど多くの手段があるわけではない。

 たとえば軽量のサスペンションアームへの交換は、強度検討書が必要となり、交換後に再度車検を取り直す必要がある。ブレーキシステムの交換は車検を取り直す必要はないが、アフターパーツとして販売されているもののほとんどは、制動力の向上を狙いとしているもので、ノーマルのブレーキシステムと比較した場合、重量が重くなっているものがほとんどだ。

 そのため、現実的にバネ下重量の軽減ができる手段として挙げられるのは、ホイールの交換となる。

 ホイールは回転するものであるため、軽くすると加速しやすくなるのはもちろん、減速もしやすくなる。そのため、同じタイヤを履いている場合、ホイールを軽くするとサスペンションの動きが良くなるのに加えて、乗り方に気を付けていれば、燃費も良くなる傾向がある。

 ただし、ホイールというのは単品で使うのではなく、かならずタイヤとセットで使用するものだ。いくらホイールを軽くしても、重たいタイヤを組んでしまったのでは、意味は半減してしまう。燃費を優先させたい場合には、タイヤの重さや転がり抵抗の小ささも重要になることを覚えておくとよいだろう。

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