SUVのスライドドアなぜ出ない? コンセプトカー出るも市販無しの理由とは

欧米ではスライドドアの人気があまりない? その理由とは

 また、別の理由もあります。それはニーズです。日本では好まれるスライドドアですが、じつは海外ではアジアなど一部地域を除いて日本と違い需要が多くありません。

 むしろ欧米では商用車やファミリーカーのイメージから、敬遠される風潮もあります。

 日本専用モデルが多いミニバンと違い、日本で販売するSUVの多くは北米や欧州でも販売することを前提に開発されているので、世界的な販売を考えるとあえてスライドドアを選ぶという判断はしにくいのです。

トヨタが東京モーターショー2017で公開した「TJクルーザー」
トヨタが東京モーターショー2017で公開した「TJクルーザー」

 ただし、トヨタ「TJクルーザー」など、モーターショーで展示されるコンセプトカーではスライドドアを組み合わせたSUVも存在します。

 それらは新しいマーケットを開拓する提案としている場合もありますが、多くはインテリアを見せるためにスライドドア化されるという理由があります。

 開いたドアが邪魔をして室内が見えにくいスイングドアよりも、開いたときにまわりからの視界を遮らないスライドドアのほうがショーカーとして適しているというわけです。使い勝手を求めたものではないから、乗り降りはしづらい場合がほとんどです。

 もちろんそれらは、後にそのコンセプトカーと関連の深い市販車が登場しても、スライドドアではなくヒンジ式ドアとなるのが一般的です。

 そんな事情を考えるとSUVにスライドドアの組み合わせが現実的でないことが理解できるでしょう。

 しかし、もしもアメリカや欧州においてスライドドアの人気が高まり、ミニバンのように室内高の高いSUVが大ブレイクする時があれば、その時にはスライドドアを組み合わせるかもしれません。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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コメント

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7件のコメント

  1. 運転席・助手席のドアは100%ヒンジ
    後席ドアがスライド式であっても、運転席・助手席を開閉するには、結局そのための空間が必要

  2. >むしろ欧米では商用車やファミリーカーのイメージから、敬遠される風潮もあります。
    欧米のユーザーが敬遠するというより、欧米のメーカーにスライドドアを日本の物ほど安く作るノウハウがないからじゃないのかな。何せ日本では、軽自動車からアルベルクラスまで装着して儲けを出せる技術の蓄積がある。

  3. TJクルーザーを上げてデリカD5を上げない理由がわからない。
    本格SUVミニバンで、タイヤが浮いてもスライドドアを開けられる車体剛性をもつ唯一無二の存在ですけどね。

  4. RVR知らないのかな?

    • 今のRVRは、スライドドアをやめているけれど。

  5. ヒンジドアは自動車メーカーと技術者の甘え。
    いつまで前時代的なヒンジドアなんだ?と。
    馬車の頃から進歩が無い。

  6. 後部座席のスライドドアは便利。
    後部座席がドアの場合、乗降時のドア開閉で隣の車と接触させる心配が有ったり、ドアの場合駐車してからの乗降は狭く難しい。
    スライドドアで有れば隣の車との接触も無く乗降時にドアの厚みが無いので駐車してからでも可能で有る。また開口部が広く乗り込み易いし大き目の荷物も積込み易く便利。運転手としては接触トラブルが無いので安心。また多目的利用で色んな面で便利。通常のドアは不便きまわりない。

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