トヨタ「ルーミー」に倍返し!? 元祖小型ミニバン スズキ「ソリオ」全面刷新で逆襲なるか

安定して売れ続けるソリオのフルモデルチェンジは年末か?

 大きな変化が起きたのは、ソリオとして初のフルモデルチェンジを受けた2010年です。

 デザイン面で完全にワゴンRとは独立したモデルになったのに加え、背を高くするとともにスライドドアを組み込んだのです。実用性が飛躍的に高まったことを受けて、販売台数も増えました。

スズキ「ソリオ」
スズキ「ソリオ」

 2015年にはフルモデルチェンジを受けて3代目となっています。これが現行モデルです。

 そんなソリオは、後発ライバルのルーミーやタンクに販売台数でリードされているので、後塵を拝する状況になっていると思われがちですが、販売データを見ると興味深いことがわかります。

 年間を通じて新型モデルを販売した2016年の年間販売台数は、前年比26.8%増の4万8814台でした。

 翌2017年はルーミーとタンクが本格販売に入りましたが、ソリオは4万9742台と前年以上に販売(ルーミー+タンクはあわせて14万9529台)。

 その後2018年は4万4884台(同16万64台)、2019年は4万4488台(同16万6168台)と大きな波がなく安定して売れ続けているのです。

 つまり、ルーミーやタンクが大ヒットしても、それを受けてソリオの販売台数が減っているとはいえない状況なのです。

 ルーミーやタンクの存在がソリオの販売台数を奪ったとは考えにくく、むしろライバルが登場したことで市場が活性化したといっていいでしょう。

 ところでソリオは、2020年末にフルモデルチェンジを受けるのではないかと噂されています。

 スズキは毎年末に新型車を発表し、年明けに「初売り」として大々的に売り出すのが恒例で、サイクルを考えると間もなくソリオの順番だからです。

 新型はパッケージングや実用性に磨きをかけるほか、先進安全装備もより高度化するのは間違いないでしょう。

 ソリオが開拓した市場へ参入してきたルーミーに対しては、さすがに倍返しは厳しいかもしれません(そもそも販売台数の推移からみてダメージは受けていないと思われますが)。

 しかしソリオは、長期間にわたって一定数売れ続ける「安心できるクルマ」であり続けることは間違いなさそうです。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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