低全高ミニバンは減少でも ステーションワゴン人気は再燃!? カローラ&レヴォーグはなぜ人気?

背が低く後席がヒンジドアになっているワゴン風ミニバン(低全高ミニバン)がかつては多く販売されていました。しかし、最近では2020年7月にホンダ「ジェイド」が生産終了後、トヨタ「プリウスα」のみとなっています。今後、低全高ミニバンが復活する日は来るのでしょうか。

背が低いミニバンはもう出てこない?

 かつて2000年代の国内市場では、背が低く後席がヒンジドアタイプのワゴン風ミニバン(以下、低全高ミニバン)が多くラインナップされていました。
 
 しかし、2020年9月現在ではステーションワゴン・ミニバンのどちらにも分類されるモデルは、トヨタ「プリウスα(2列・3列)」のみとなっています。今後、低全高ミニバンは登場しないのでしょうか。

低全高ミニバンの火付け役となったホンダ「ストリーム」
低全高ミニバンの火付け役となったホンダ「ストリーム」

 日本市場では、プリウスαのような低全高ミニバンが減少しています。過去には、トヨタ「イプサム」や「ウィッシュ」、ホンダ「ストリーム」、日産「ラフェスタ」、マツダ「プレマシー」、スバル「エクシーガ」といった、多人数乗車が可能なモデルがありました。

 もっとも後発として販売されたホンダ「ジェイド」は、2015年2月に登場。スポーティなステーションワゴンのスタイルでありながら、3列シート6人乗りのミニバンとして新たなジャンルを切り開いたモデルです。

 しかし、昨今は背が高くスライドドアを備えたミニバンが主流で、ワゴンタイプのミニバンでは室内が狭く使い勝手が悪いということも影響し、ジェイドは2018年5月のマイナーチェンジでガソリン・ハイブリッドともに2列シート車を追加していました。

 当時、2列シート車を追加した理由についてホンダは、「ジェイドのクラスは一定規模の需要があり、走りやデザインの激戦区であるステーションワゴン市場にホンダらしいスポーティなモデルとして2列仕様を投入することを決めました」と説明しています。

 しかし、2列シート車を追加した約2年後の2020年7月に、ホンダはジェイドの生産終了を公表し、国内市場で希少となった低全高ミニバンが減ったのです。

 また、唯一残るプリウスαにも生産終了の噂があります。現行モデルは、2011年に登場後、2017年の一部改良(衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車標準装備)以降には、大きな改良を実施していません。

 さらに、2018年には北米や韓国市場向けのプリウスαとなる「プリウスV」の販売が終了するなど、徐々にプリウスαの販売網が縮小していることや、トヨタ「カローラツーリング」の人気に押され気味なことなどが生産終了の噂となる要因です。

 では、このまま低全高ミニバンは消滅するのでしょうか。国産メーカーのエンジニアは次のように話します。

「背が低いワゴンの3列シートモデルはこの先出てくる可能性は低いと思います。まず、現在のミニバン市場では背が高くスライドドアを備えた3列シート車が主流です。

 また、2列シート車においては軽自動車、コンパクトカーといった小さなタイプか、背が高く居住性も高いSUVに分かれています。また、最近では3列シートSUVのラインナップも増えてきました。

 一見、3列シートを備えた低全高ミニバンは『丁度良い』ように思えますが、昨今の安全基準を考えるとワゴンに無理やり3列目を取り付けるのは後方からの衝突安全性を考えると難しいのと、3列目自体の居住性も悪いので、中途半端なクルマになる可能性があります。

 実際に購入する際も中途半端よりは、どれかに割り切っている方が用途もわかりやすいので、購入されやすく、結果的にユーザーから支持されるのではないでしょうか」

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