「インテグラ」とアルファ ロメオ「GTV」の激似の訳 ピニンファリーナが手掛けた日本車3選

2020年に創業90周年を迎えたピニンファリーナは、フェラーリのデザインで有名だが、かつては日本車のデザインも手掛けてもいる。ピニンファリーナが手掛けた日本車とは、いったいどんなクルマなのだろうか。

インテグラとアルファ ロメオ「スパイダー/GTV」は、異母兄弟だった!?

 1960年代の創成期には、ほかの日本メーカーのごとくイタリアのカロッツェリアとの提携関係を持たなかったホンダだが、1980年代からピニンファリーナとのコラボをスタートさせることになった。

●ホンダ・インテグラ(3代目)

アルファ916GTV/スパイダーとの類似性が指摘されるインテグラ
アルファ916GTV/スパイダーとの類似性が指摘されるインテグラ

 その成果として、ホンダとピニンファリーナの双方から公式に認められたものとしては、初代「シティ」に設定された「カブリオレ」のオープン化モディファイとソフトトップの設計・開発を担当したことが挙げられるだろう。あるいは1984年のトリノ・ショーで初公開されたコンセプトカー「ホンダHP-X」などが存在する。

 しかし公にはされていないものの、ピニンファリーナがデザインに関与したと推測されるホンダの生産モデルが、いくつか指摘されている。そのうちのひとつが、1993年にデビューした3代目「インテグラ」である。

 かつてピニンファリーナでスタイリストを務め、名作「フェラーリ・テスタロッサ」などを手掛けた故エマヌエーレ・ニコジア氏が今世紀初頭に来日した際、筆者は某スーパーカー専門誌のために、独占インタビューを敢行する機会を得た。

 その際に、インテグラとアルファ ロメオ「916系スパイダー/GTV」との近似性について、半ば好奇心から尋ねてみたのだが、そんな無茶ぶりに対してニコジア氏はきわめて率直に語ってくれた。

 当時ピニンファリーナは、ホンダのリクエストに応じて定期的に複数のデザインスケッチを送付しており、そのうちのひとつが3代目インテグラのデザインワークの基礎となった……、というのが彼の見方であった。

 グリルレスのノーズをくりぬくように左右2つの穴をあけ、そこにヘッドライト配置するという、インテグラとアルファロメオ916系スパイダー/GTVに共通するアイコン的フェイスは、もともと故ニコジア氏の同僚だったエンリコ・フミア氏の主導で製作され、1980年のジュネーヴ・ショーで発表されたアウディ「クワトロ・ピニンファリーナ・クォーツ」にて初めて提唱されたものとされている。

 それが10数年の時を経て、日本のインテグラとイタリアのアルファ・スパイダー/GTVとして結実したというのは、実に興味深いことと思われよう。

 もちろん「3代目インテグラ=ピニンファリーナ作品説」は、2016年に逝去した故ニコジア氏の記憶だけによるものであり、もしかしたらホンダ側では別の言い分もあるかもしれない。しかし筆者としては、この上なくロマンティックな逸話に感じられてしまったのである。

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