フェラーリバブルは崩壊した!? 「F40」の落札価格から検証する
2016年以降の「F40」オークションの結果はどうだったか?
それでは、米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した2016年以降のモントレー・ウィーク・オークションでのF40の落札価格の推移を見てみよう。
●MONTEREY 2016:1990年式フェラーリF40
2016年に出品された1990年式のS/N:87123は、アメリカでのオークションでは珍しく、シリアルナンバーやkm/h表示のメーターによってEU仕様であることがわかるモデルだった。
現在までの走行距離は2384kmと短いが、イタリアから最初にアメリカへと輸出された後、ドイツ、日本のオーナーによって管理され、最後の10年間には燃料タンク、ベルト類、スパークプラグなどを交換。実際のコンディションは非常に良好で、新しいオーナーを失望させることはないだろうとRMオークションは追記している。
落札価格は126万5000ドル(2016年8月為替相場平均換算約1億2800万円)。前年とほとんどかわらない数字だけに、このあたりでF40は高止まりではないかという声も多く聞かれた。
●MONTEREY AUGUST 2017:1991年式フェラーリF40
だがその予想に反して、F40バブルはまだまだ続いたのである。2017年に出品された1991年式のS/N:87895は1991年1月に出荷され、ウインドウのステッカーやディーラーの検査チェックシートまでがそのまま残る、完全なオリジナルコンディションであった。
オプションのエアコンや電熱線入りのフロントウインドウを備えるなど、実用性も高かった。走行距離は2802マイル(4483km)。もちろんその人気は高く、結果的に落札価格は154万ドル(2017年8月為替相場平均換算約1億6900万円)にまで達したのである。
●MONTEREY 2018/2019:1990年式/1991年式フェラーリF40
2018年に出品された1990年式のS/N:87041、そして2019年に姿を現した1991年式のS/N:87568も、いずれもわずかに2720km、2728kmという走行距離とコンディションが評価され、各々171万ドル(2018年8月為替相場平均換算約1億9000万円)、168万2500ドル(2019年8月為替相場平均換算約1億7900万円)で落札された。
特に前者は2008年のオークションで、世界で最も高価なF40として販売されたモデル。その記録が破られたかどうかの発表はなかったが、新車同様のコンディションは、それに値するものといえた。
●SHIFT MONTEREY 2020:1991年式フェラーリF40
そして新型コロナウイルスの関係から、オンライン・オークションとなった2020年も、F40の名前はRMオークションのロットにあった。
走行距離が6407マイル(1万251km)と大きかったのが敬遠されたのか、それとも今後の経済の不透明さが影響したのかは不明だが、1991年式のS/N:87627の落札価格は138万6000ドル(2020年8月為替相場平均換算約1億4700万円)止まりだった。
だがこれをもって、F40バブルの崩壊というのは時期尚早だろう。F40はフェラーリのファンにとっても特別な存在。それは誰もが知っていることであるし、その価値はこれまでのオークション市場での落札価格に、なによりも明確に表れているのだから。
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