トヨタ「プリウス」は空力がスゴイ!? 空気抵抗がクルマに与える影響とは

Cd値が優れているクルマ3選

 Cd値に関しては昔から研究されており、1980年代にはCd値に優れていることをセールスポイントとしたモデルが登場しています。

 ただし現在のように、「空気抵抗を減らして燃費を稼ぐ」というより、当時は「風切り音を減らして楽に高速巡航をする」ためのものであり、Cd値がいいクルマは高性能の証でもありました。

 そんな優れたCd値を誇る代表的なモデルを3台紹介します。

当時としては優れたCd値を実現したアウディ「100」
当時としては優れたCd値を実現したアウディ「100」

●アウディ「100」(3代目)

 1968年にデビューしたアウディ「100」は、現在の「A8」に通じる、当時のフラッグシップモデルとしてデビューしました。

 また現在ではトレンドになっている、大型ボディ+小排気量エンジンの組み合わせをいち早く実現したモデルでもあり、セダンのほかにクーペやハッチバックも存在していました。

 1976年には2代目へと進化しましたが、世界初の直列5気筒エンジンを搭載するなど、技術的に先進性の高いモデルです。

 そして、Cd値に優れた3代目は1982年に誕生します。それまではレース以外ではあまり注目されなかった空力ですが、陸続きの欧州では長距離移動を快適に高速巡航できることが重視されたため、空力ボディが採用されました。

 ボディ上部の窓枠などの突起物を極力減らす「フラッシュサーフェス化」を施し、ボディ下面やホイールアーチに至るまで徹底的に空力を考慮したデザインを採用。100のCd値は、当時としては画期的な0.30を実現しています。

 これにより、2.2リッターの排気量で時速200km巡航が可能になり、実際に燃費も優れていました。

 これ以降のライバル車がすべて空力を意識したボディを採用したことを考えると、いかに革新的だったのかをうかがい知ることができます。

●トヨタ「プリウス」(4代目)

 現在、空力特性に優れるボディを採用しているクルマの多くが、優れた環境性能と低燃費を実現させていますが、その代表といえるのがトヨタ「プリウス」です。

 2015年に現在の4代目へとモデルチェンジしたときは奇抜に思われたデザインでしたが、じつは空力的にかなり進化したスタイルだったのです。

 プリウスのCd値は、驚愕の0.24を達成しています。トヨタ新型「スープラ」は0.30ですから、プリウスの数値がいかに優れているかがわかります。

 軽量かつ高剛性なプラットフォーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」の採用や、ハイブリッドシステムの進化、リチウムイオン電池の採用などさまざまな要因はありますが、当時40.8/L(JC08モード)という低燃費を実現させるためにも空力ボディは重要な要素のひとつだといえます。

●メルセデス・ベンツ「Aクラス」(セダン)

 メルセデス・ベンツのエントリーモデルである「Aクラス」は、もともとは1997年にトールワゴンのようなスタイルでデビュー。それまでメルセデス・ベンツが参入していなかった、「Bセグメント」に投入されました。

 2012年にフルモデルチェンジした3代目Aクラスは、より快適性の高い「Cセグメント」へと移行し、洗練されたデザインとメルセデス・ベンツらしい重厚感のあるモデルへと生まれ変わります。

 そして2018年には、さらにシャープなイメージの4代目へとフルモデルチェンジ。同ブランドの上級モデルに通じる大型の台形グリルとシャープなヘッドライトを採用したデザインとなり、高級感がアップしました。

 優れたデザインとしながら、AクラスのCd値はプリウスを上回る0.23を実現。さらに、2020年に追加された「Aクラスセダン」にいたっては0.22もの数値を記録しています。

 前面投影面積(クルマを正面から見たときの面積)も小さく、世界トップレベルの空力ボディとなっています。

※ ※ ※

 必ずしもすべてではありませんが、Cd値がいいクルマは高性能で環境性能にも優れているといえます。

 ちなみに、スーパーカー世代が憧れたロータス「ヨーロッパ」のCd値は、1970年代のモデルながら0.29でした。あの低さと小ささは、科学的に見ても優れた形状だったというわけです。

 なお、国産車で初めてCd値0.30を下まわったのは、1985年に発売されたスバル「アルシオーネ」で、0.29を達成しています。

 ドアノブにカバーを装着し、ドアミラーの形状も特殊で、ボディにはさまざまな工夫が施されていました。

【画像】空力がすごい! 優れたCd値を達成したクルマとは?(22枚)

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3件のコメント

  1. 虫がこびりつかなければ実用的だが

  2. 良く調べてある記事だと思います。ただ、以下の2点については記述が不十分かな。
    ①cd値は各メーカー、研究施設によりまちまちになる。つまり肝心な風洞の基準が無い為。例えばベンツをトヨタの風洞に持ち込んでもベンツの発表したcd値にはなりません。(メーカーも承知の上なので、そんなことはしません)あまり知らされないことですが。つまりcd値の小数点2位の値の比較は同一メーカーの車種以外には、あまり意味は無いのです。②空気抵抗は自動車の場合、時速80km以上で意味を持ちます。私もプリウスの30型を一時使っていましたが、高速燃費が最良だったのは、時速80km巡航時の31.5km/L(カタログ値と同じ)でした。40型でのcd値0.20は素晴らしいですが、実はあまり意味のない数字だと思います。夢は有りますが・・・。カーマニアや設計者が、我が意を得たり!と思わず膝を打つような記事を期待しています。

  3. フォーミュラ1マシンのCd値が高いのは、タイヤが剥き出しだからです。

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