203万円以上の新車が危険!? 7割の人が好きな新車臭 「シックカー症候群」の正体

新車を購入した人なら誰でも経験したことのある独特の「新車臭」は、数多くのドライバーに好まれています。実はこのニオイが健康被害に影響をもたらすといいます。どのような健康被害を及ぼすのでしょうか。

ユーザーの7割近くが「好き」と答える新車のニオイ!実は健康被害も…

 新しいクルマには、新車臭とも呼ばれる独特なニオイがします。普段はあまり感じることのないニオイのため、強く印象に残っている人も多いでしょう。また、ドライバーのなかには、この新車臭を好む人も大勢います。

7割のユーザーが「好き」と答える新車臭の正体
7割のユーザーが「好き」と答える新車臭の正体

 過去に、ボルボ・カーズ・ジャパンでは、新車のニオイに関する調査をおこないました。調査対象は、これまで新車を購入したことのある20代から50代の各世代・各性別100名ずつとなる計800名です。

 調査のなかで、「新車のニオイが好きですか」と問われたところ、「とても好き」22%、「どちらかといえば好き」50.3%、「どちらかといえば嫌い」22.3%、「嫌い」5.5%という結果となりました。

 調査対象となる800名のうち、約7割以上の人が新車のニオイを好んでいることが判明しています。

 このように、数多くのドライバーから好まれている新車のニオイですが、実は健康被害が懸念されています。これについて、ニオイの専門家である「におい・かおり環境協会」は、次のように話します。

「新車のニオイに関する不調は、シックハウス症候群の要因とされる『VOC』がおもな原因です。

 揮発性の化学物質からきており、ニオイとは異なる管轄のため、詳しいことについてお答えすることができません」

 ニオイの管轄ではないというのは、一体どういうことなのでしょうか。

 まず、新車のニオイによる体調不良の原因は、住宅問題のひとつとして知られる「シックハウス症候群」の一因である「VOC(揮発性有機化合物)」にあるとされています。

 実際に、日本自動車工業会でも「車室内VOC(揮発性有機化合物)低減に対する自主取り組み」をおこなっています。

 VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)とは、常温で揮発しやすい有機化合物を指し、おもに「トリクロロエチレン」「テトラクロロエチレン」「ホルムアルデヒド」「トルエン」「ベンゼン」「キシレン」といった物質があげられます。

 これらの化学物質は、揮発しやすい(乾燥しやすい)、親油性に優れている(油汚れを落としやすい)といった特徴を活かし、塗料や接着剤などの溶剤として幅広く利用されており、これらの物質が発するニオイにより一部の人ではアレルギー反応を起こすことがあります。

 おもな症状は、頭が痛い、くしゃみが止まらない、頭がボーッとする、関節痛、発疹(痛み・痒みを伴う)、微熱、めまいなどです。

 これらの症状が新車のニオイで起こり得ることについて、一部の専門家の間ではシックハウス症候群に関連付けて「シックカー症候群」という名称でも浸透しています。

 シックカー症候群は、ニオイによる直接的な健康被害ではなく、揮発性有機化合物によるものがベースとなっていることから、ニオイの管轄外とされているのです。

 また、シックカー症候群は、運転中に症状を発症すると、正常な判断ができなくなる可能性が高くなります。

 前述の症状がそのまま進行すると、精神障害、眼科的障害、末梢神経障害、自律神経障害、消化器障害・免疫障害、皮膚炎・喘息、などの障害を引き起こすこともあります。

 したがって、運転中に体調不良や精神の不安定を引き起こすことで、集中力が散漫して万が一の事故にも繋がりかねません。

 さらに、新車以外にもシックカー症候群を起こしかねない状況がいくつかあげられます。

 大阪府立公衆衛生研究所の調べによると、気温が20度以上の狭く密閉された空間は、VOCが揮発しやすい状況を作り出すため、症状があらわれやすいという結果が出ました。

 そのため、気温が上昇する夏場の車内や暖房を効かせた冬場の車内には、くれぐれも注意が必要です。

 また、同研究所によるとシックカー症候群を発症しやすい状態の傾向として、203万円以上の価格帯におよぶ車両は、VOCの濃度が高いという結果が出ているのです。

 一定の価格帯以上のクルマは、内装に高級感を持たせるため、ウッドパネルや革シートなどを用いていることにより、接着剤を多用しており、VOCの含まれる率が高くなる傾向だといいます。

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