贅沢を超越したロールス・ロイス「ゴースト」の新境地とは

2009年に鮮烈なデビューを飾ったロールス・ロイス「ゴースト」が、ついにフルモデルチェンジ。ラグジュアリーカーの新機軸となるゴーストの注目の機能について解説しよう。

ラグジュアリーの新基準、新型「ゴースト」誕生

 2009年春のジュネーヴ・ショーにて、まずはコンセプトカー「200EX」として登場、同じ年のフランクフルト・ショーで、生産モデルとして堂々のワールドプレミアを飾ったロールス・ロイス「ゴースト」は、116年にも及ぶロールス・ロイスの歴史のなかで、もっとも大きな成功を収めたモデルとして認知されている。

 そして、2020年の夏あたりから次期ゴーストの様々な新機軸を示唆する「ストーリー」が、ロールス・ロイス本社からティーザー的にリリースされていたのだが、9月1日、ついに新型ゴーストの概要とオフィシャルフォトが、世界に向けてオンライン公開されることになった。

ロールス・ロイス「ゴースト」は6.75リッターV型12気筒エンジンを搭載。最高出力571ps/5000rpm、最大トルク850Nm/1600rpmを誇る
ロールス・ロイス「ゴースト」は6.75リッターV型12気筒エンジンを搭載。最高出力571ps/5000rpm、最大トルク850Nm/1600rpmを誇る

 初代ゴーストは同時代のBMW「7シリーズ」のコンポーネンツを流用しつつも、正真正銘のロールス・ロイスを見事に実現していたと断言してよいだろう。

 しかし最新ゴーストでは、現行(8代目)「ファントム」を皮切りにSUV「カリナン」にも採用された、ロールス・ロイス専用アルミ・スペースフレーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。その名が示すとおり、ラグジュアリーカーとしての潜在能力は、確実に向上することになったといえよう。

 また、これまでは6.6リッターだったV型12気筒ツインターボエンジンは、1959年以来、長らくロールス・ロイスの伝統だった排気量「6 3/4Litre」、つまり現行ファントムやカリナンと同じく、6.75リッターへと少しだけスケールアップし、571psの最高出力と850Nmの最大トルクを獲得した。

 さらに、現行ファントムで初採用された4輪操舵システムに加えて、R-Rのサルーン史上初となる4輪駆動システムの採用により、卓越したバランスと安定性を実現している。

 しかしこうした素晴らしいパフォーマンスも、新型ゴーストにとっては属性のひとつに過ぎない。この期待のニューカマーにとって何より重要なのは、自動車というジャンルを超えて「ラグジュアリー」の新基準となるような快適性、あるいはエンターテインメント面も含めた、新しい世界観を体現することだったのだ。

●「魔法のじゅうたん」と「ささやきの空間」

 ロールス・ロイス専用スペースフレーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」の採用を前提条件として企画されたという2代目ゴーストでは、シャシ持ち前のポテンシャルを最大限に活用して、極めて贅沢なクルマ創りがおこなわれることになった。

 まず重要なトピックは、開発に3年間もの歳月を要したとされる、世界初のサスペンションテクノロジー「Planar(プラナー)」」シャシシステムを搭載することである。

 このシステムは、新たに開発された3つの技術によって実現したものという。ひとつ目は、フロントサスペンション・アセンブリーの上部に取り付けられた、アッパーウィッシュボーンのダンパーユニット。ロールス・ロイス社の発表によると、このダンパー自体も世界初の技術になるという。

 ふたつ目は、カメラを使用して前方の路面状況を読み取り、サスペンションシステムが路面状況の変化にあらかじめ備える「Flagbearer」システムである。

 そして3つ目は、GPSデータを使用して、コーナーに侵入する直前に最適なトランスミッションの段数をあらかじめ選択する「Satellite Aided Transmission(サテライト・エイデッド・トランスミッション)」である。

 ロールス・ロイスのコメントによると、次期ゴーストはPlanarシステムにより、もっとも要求の厳しい路面状況も予測して対応できるという。これによりロールス・ロイスならではの「Magic Carpet Ride(魔法のじゅうたん)」と称される乗り心地を、さらなる高みに押し上げたと主張している。

 加えて、「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」は前後重量配分50:50を実現するとともにドラスティックな低重心化も実現。プレステージサルーンの常識を超える、ダイナミックなハンドリング性能を完全に両立させることにも成功したとのことである。

 そしてもうひとつ、「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」が可能にしたのは、初代でも充分以上であった静粛性に、さらなる先の次元をもたらしたことである。

 もともと強固であるゆえに余計な振動の発生源となることのない「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」やバルクヘッドの二重構造化、あるいは100kg以上に及ぶ吸音材を奢るなど、仔細にわたる努力が組み合わせられている。

 しかし、ロールス・ロイス技術陣の音響チームはテストの初期段階で、すべてのノイズをただ取り除くことは生理学的に好ましく感じられない、と気づいたという。そこで彼らの立てた目標は、乗員が単一の微かな音として感じる「Whisper(ささやき)」を創り出すこととなった。

 この指針に向けて、各コンポーネンツを特定の共振周波数にチューニングすべく、シートフレーム用のダンピングユニットを設置したほか、キャビンと「ブート(トランクの英国式表記)」の間に一定の空間が設けられた。

 そして、これらの積み重ねによって生成された心地よい低周波音が、V12エンジンの幽かなハミングと同調し、自動車における静粛性の新たな境地に到達したとのことである。

【画像】オールニュー! ロールス・ロイス「ゴースト」はこれだ!!(15枚)

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