日産とスバルで「手放し運転」に違い? 機能は似ていても両者で大きく違う考え方とは

プロパイロット2.0とアイサイトXの違いは価格が違う!?

 両車とも、先に挙げた「自動運転に係わる国際基準の動向」に基づき、ドライバーモニターと、危険最小化制御を採用しています。

 車両がカメラセンサーによってドライバーの様子をモニターして、居眠りをして目を瞑ったり、脇見運転などで前方を注視しないと警報を発します。

高速道路で手放し運転する日産「スカイライン ハイブリッド」
高速道路で手放し運転する日産「スカイライン ハイブリッド」

 それでもドライバーが応答しないときは、緊急事態と判断して、新型レヴォーグではドライバー異常時対応システムを作動させます。

 ハザードランプを自動的に点滅させながら速度を落とし、クラクションも断続的に鳴らしながら停車し、車両に異常が生じていることを周囲に知らせるわけです。

 新型レヴォーグにはエアバッグが作動したときにオペレーターを通じて消防や警察へ自動通報したり、前席上部のSOSスイッチを押して救援を依頼できるヘルプネットのサービスがあり、アイサイトX搭載グレードは標準装備されています(非搭載グレードにはオプション設定)。

 しかし、アイサイトXの作動中にドライバー異常時対応システムが作動したときに、ヘルプネットは作動ないのです。今後ヘルプネットと連動させれば、安全性を一層高められるでしょう。

 またヘルプネットが自動通報すると、エアバッグ作動時の各種データも伝達され、乗員の傷害度も推測できます。

 そこにドライバーモニターの映像も加えれば、遠隔地からでも車内の様子と乗員の状態が多角的に分かります。ヘルプネットとドライバー異常時対応システムの連携は今後の課題です。

 一方スカイラインには、新型レヴォーグとは逆の課題があります。

 プロパイロット2.0を作動中にドライバーが反応せず、異常が生じたと判断されると、ハザードランプを自動点滅させながら停車して救援要請を自動発信しますが、プロパイロット2.0を作動させていないときには使えません。

 スカイラインの場合は、SOSスイッチで救援を依頼したり、エアバッグの作動に連動して消防や警察に通報することはできないのです。

 いまはSOSスイッチやエアバッグに連動した救援依頼の機能は、軽自動車の「デイズ」や「ルークス」を含めて幅広い日産車に採用されています。

 スカイラインは通信機能を既に備えているのですから、一般的なSOSコールにも早急に対応すべきです。

※ ※ ※

 スカイラインのプロパイロット2.0では高速域まで可能ですが、新型レヴォーグのアイサイトXは渋滞時の時速約50km以下と、手放しによる運転支援機能の作動速度が大きな違いですが、その一方で価格も異なります。

 新型レヴォーグのエントリーグレードである「GT」の価格(消費税込、以下同様)は310万2000円です。このグレードにアイサイトXが装着された「GT EX」の価格は348万7000円と、38万5000円高くなります。

 新型レヴォーグでは末尾に「EX」の名称が付くグレードにアイサイトXが装着されますが、「GT」だけでなく、中間グレードの「GT-H」および最上級グレードの「STIスポーツ」にもそれぞれ「EX」が設定されています。

 このEXグレードには、アイサイトXだけでなく、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイなどもセットで装着されています。これらは、EX以外にもオプションとして装着可能で、その場合の価格は27万5000円です。

 そのため、38万5000円からオプション価格を差し引いた11万円がアイサイトXの正味価格だといえます。アイサイトXの手放し運転は約50km/h以下の渋滞時に限られますが、価格も安く抑えているといえるでしょう。

 対するスカイラインでは、ハイブリッドの全車にプロパイロット2.0が標準装着されるため、単体価格は算出しにくいのですが、装着される前と後の価格を比べると、プロパイロット2.0とドライバーモニター、ヘッドアップディスプレイなどをセットにして約50万円の差があります。

 また、スカイラインハイブリッドの「GT タイプP」の価格は581万6800円で、3リッターツインターボを搭載する「GTタイプP」は463万8700円です。

 ハイブリッド車のほうが117万8100円高く、この差額はおもにハイブリッドとプロパイロット2.0の対価といえるでしょう。

 新型レヴォーグのアイサイトXは渋滞時をサポートする付加価値として、スカイラインのプロパイロット2.0は、高速道路を長時間にわたって安全かつ快適に移動するための実用装備に位置付けられています。

 また、新型レヴォーグではアイサイトXをどのグレードにも比較的安価に装着できますが、スカイラインは価格の高いハイブリッド車のみに限定しているところも、スバルと日産の考え方の違いだといえます。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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