安い軽自動車なぜ激減!? 小型車よりも高価格主流に なぜ立場が逆転したのか
近年、軽自動車の新車の価格帯が上昇傾向にあり、100万円以下の乗用モデルは5車種のみ、メーカーエンブレム違いのOEM車を除くとわずか2車種しか現存しないといいます。新車市場においてコンパクトカーとのポジションが逆転しつつあるともいわれますが、いったいなぜ安価な軽自動車は激減したのでしょうか。
軽自動車と小型車に起きている逆転現象とは
軽自動車といえば、コンパクトで取り回しがしやすく、「通勤・通学」や「買物・送迎」といった近場の利用に便利で、日常にはなくてはならない存在といえるクルマでしょう。
しかし、近年は新車の軽自動車の価格帯が上昇傾向にあり、軽自動車であっても「気軽に買う」という風潮でなくなりつつあるといわれています。いったいなぜ高価格化しつつあるのでしょうか。
自動車検査登録情報協会が調査する自動車保有台数によると、2020年3月末時点で、普通車(通称3ナンバー車)の保有台数は1961万4910台、小型車(通称5ナンバー車)の保有台数は1966万5498台です。
一方、軽自動車の保有台数は2252万8178台となっており、軽自動車の保有者が普通車や小型車より多いことからも、その人気がうかがえます。
軽自動車は、ひと昔前までは普通車や小型車に比べて安全・快適装備が少ない代わりに安く購入できる、というイメージを持たれるクルマでしたが、最近は標準装備化された安全支援システムなども増え、普通車や小型車に引けを取らないほど装備や機能が充実しています。
例えば、日産と三菱が共同開発して2019年3月に発売された「デイズ」と「eKクロス/eKワゴン」には、軽自動車初の高速道路同一車線運転支援技術「プロパイロット(三菱ではマイパイロット)」が搭載されるなど、運転時の快適性も格段に向上しています。
こういった装備や機能の充実により、装備や機能の差がなくなってきたことに加え、スズキ「ハスラー」や新たに加わったダイハツ「タフト」など最近ブームのSUVタイプや、居住性や積載性のある軽トールワゴン/軽スーパーハイトワゴンなど種類も充実しているため、とくに小型車との差別化が難しくなっています。
年々上昇傾向にある軽自動車の新車価格は、最近ではコンパクトカーとほぼ同価格帯です。
例えば、日産では「マーチ」の128万92000円からに対して「デイズ」が132万7700円からというように(いずれも消費税込、以下同様)、コンパクトカーよりも軽自動車の方が価格が上回る“逆転現象”も起きています。
いまや200万円を上回るグレードを設定するモデルも存在しており、軽自動車は上級志向の路線が続いている状況です。なぜこのような状態になったのでしょうか。
この理由について、人気の軽自動車「N-BOX」などを扱うホンダ販売店スタッフは次のように話します。
「最近は、価格の安さよりも装備や機能面を気にしてクルマの購入を検討される人が増えている印象です。そういったニーズに合わせるために、昨今では軽自動車でも装備や機能を充実させているのだと思います。
その代わり、軽自動車としては以前より価格が上がり、普通車と変わらない価格帯となっています。しかしその分、機能や装備などが大差なくなってきたため、むしろ税金などの維持費が安い軽自動車がいいという人は結構多いです」
最近のユーザーのニーズは、価格の安さよりも、装備や機能を重視して検討する傾向にあるようです。そういった変化するユーザーのニーズに応えようとした結果、軽自動車が上級志向になったといえそうです。
また、最大のメリットである維持費の安さはやはり大きな武器のようです。軽自動車の上級化やラインアップが充実したことより、軽自動車とコンパクトカーとの差が感じられなくなったことで、維持費の安さが軽自動車のメリットとして優位なポイントとなっています。
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