スバル新型「レヴォーグ」は超進化! まるで「WRX」のような走りを実現できた訳とは

STIスポーツは“キャラ変”できる!?

 運転席に座ってみると、シートの良さに驚きました。スバル車のシートはこれまでウィークポイントのひとつとされていましたが、新型レヴォーグでは全面的に見直しがおこなわれています。

スバル新型「レヴォーグ」(プロトタイプ)
スバル新型「レヴォーグ」(プロトタイプ)

 ホールド性の高さだけでなく、柔らかいのにコシのあるクッションや面で支える構造なども相まって、スバル車最良の掛け心地を実現。現行レヴォーグの「STIスポーツ ブラックセレクション」に設定されたレカロシートが色あせてしまうくらいの出来の良さです。

 まずは標準仕様に試乗してみます。第一印象は、STI社がひと手間加えた至高のコンプリートカーの「Sシリーズ」のなかでも、STIハンドリングマイスターである辰己英治氏が手掛けた「S206」に近い乗り味が量産モデルで再現されていると感じました。

 ボディは硬さだけでなくしなやかさを感じること、操舵時にフロントからリアへの力の伝達に遅れがないだけでなく伝わり方が滑らかなこと、サスペンションはロールを抑えてクイックに動かすのではなく、ロールを上手に活かし綺麗に動かすセットアップであること、ステアリングは穏やかなのにレスポンスや直結感が高い事などが挙げられますが、これらが連続的に融合しているのです。

 新型レヴォーグは「○○が凄い」ではなく、「クルマとして凄い」といったイメージです。

 従来モデルは上手に走らせるには、ドライバーがそれ相応の操作をおこなう必要もありましたが、新型レヴォーグは普通に運転するだけで誰でも上手に走らせることが可能です。つまり、「運転が上手くなるクルマ」に仕上がっているというわけです。

 続いて「STIスポーツ」に乗ると、さらに驚きがありました。STIスポーツは、パワートレインやパワステ、電子制御ダンパーの特性を変更可能な「ドライブモードセレクト」を採用していますが、その効果はテキメンです。

 コンフォートモード(別名・奥様モード)は、スバル車とは思えない超しなやかな足のさばきで優しく、柔らかな乗り味。一方のスポーツ+モードは各部のギャップがなくなったかのようなダイレクトと一体感を備えた乗り味で「お前はWRXか!?」と錯覚するくらいの走りです。

 スバルのベストはオールラウンダーな特性のノーマルですが、単純に柔らかい、硬いとは違った“キャラ変”は、新型レヴォーグの新たな魅力だと思いました。

 ここまでハンドリングが良くなると、パワートレインに欲が出るのも事実。今後の展開に期待したいです。

 走りと合わせて飛躍的にレベルアップした安全支援システムも注目です。広角化されたステレオカメラに加え、前後合わせて4つのレーダー、電動ブレーキブースターの採用などで衝突回避性能は世界トップレベルだといいます。

 加えて、3D高精度地図データとGPS情報を利用する高速道路での先進運転支援機能「アイサイトX(エックス)」は、レーンチェンジを支援する「アクティブレーンチェンジアシスト」、コーナー前に最適速度に調整する「カーブ前速度制」、料金所でもアイサイトをOFFせず速度調整をおこなう「料金所前速度抑制」、渋滞時に50km/hまで手放しが可能な「ハンズオフアシスト」、渋滞時に自動で再発進が可能な「渋滞時発進アシスト」、そしてドライバーに何かあった際にクルマを安全に停止&周りにその状況を伝える「ドライバー異常時対応システム」など、多彩な機能を用意しています。

 これらの機能を試して感じたのは、どれもプロドライバーが操っているかのような滑らかで自然な制御であることです。

 じつはこれ、当たり前のようで実現できていないメーカーがほとんど。スバルのそれは「自分だったらそうする」という制御で「これならクルマに任せてもいいな」と感じ、結果として信頼へと繋がって「積極的に使おう」という気持ちになると思います。

 これはハードの良さだけでは実現できず、それを活かすソフトの凄さだといえます。スバルが長年開発を続けてきた経験や知見の賜物です。

※ ※ ※

 新型レヴォーグの進化は、1989年にレガシィが登場したときくらいの驚きを感じました。

 スバルが考えるグランドツーリング性能は、「より速く、より遠くに、より安全に、より快適に」ですが、新型レヴォーグはそれに加えて加えて「より愉しく」がプラスされたように思っています。

 そういう意味では次世代に向けてスバルの進むべき道が、新型レヴォーグで明確になったといってもいいでしょう。

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【画像】メーターパネルに地図が! 新型レヴォーグが超先進的!(34枚)

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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