激下り&激登りの過酷試乗!! 硬派SUVジープ「ラングラー」を試す!

「ラングラー」に走破できない道はない!?

 今回試乗したのは、4ドアのロングホイールベース版であるラングラー・アンリミテッド・サハラと、2ドア・ショートホイール版の限定車ラングラー・ルビコンの2台。通常のラングラーのセレクトラック・フルタイム4WDをさらに発展させた、ロックトラック・フルタイム4WDを備えているのが特徴だ。

●クルマ任せでドライバーはハンドル操作だけに集中!

当たり前に街なかでSUVを見かける昨今だが、野山や荒野の香りのする究極のオフローダーであるラングラーは、別格といっていいだろう
当たり前に街なかでSUVを見かける昨今だが、野山や荒野の香りのする究極のオフローダーであるラングラーは、別格といっていいだろう

 軽く説明しておくと、オンデマンド式フルタイム4WDと5つのモードを持つ副変速機の組み合わせは一緒。異なってるのは、スイッチ操作で前後のディファレンシャルをロックする機構が備わっていること。

 リアだけをロックした場合には後輪左右それぞれに25%ずつ駆動が分配され、前輪には電子制御ブレーキングデフが作用し、フロントとリア両方をロックした場合には4輪に25%ずつ駆動が分配される、という仕組みだ。

 また同じくスイッチひとつでスウェイバー(スタビライザー)を解除し、フロントアクスルのストローク量をさらに豊かにすることのできるシステムも与えられている。副変速機で「4L」を選んだときのギア比はさらに低レンジ化され、最終減速比もより低速向けの数値となる。つまり極端な悪路を進むときのみ必要になる仕組みが盛り込まれている、というわけだ。

 シチュエーションがシチュエーションだったから、今回はそれらすべてを活かしての走行。砂利の浮いた急勾配の登り坂、ドロドロだったり他のラングラーが薙ぎ倒して濡れた草がまっすぐ倒れてたり未開の草が生い茂ってたりして滑落しそうな急な下り坂。

 いわゆる生活4駆のような4WDシステムを持つSUVだったら、最初から立ち入ろうなんて考えもしない道じゃない道の区間ですら、呆気なくクリアできてしまう。実際にやってるのは物凄いことなのに、そんなふうには感じられないぐらい余裕綽々で。

 いうまでもなく、それは僕が運転が上手なのではなく、クルマが優秀だから。一度、斜度が30度に達するもっとも滑りやすい区間のドロドロの下り坂を自分のペダル操作だけトライしたのだけど、安定したまま走破するのはかなり困難。

 ブレーキの踏み具合をかなり細かく調整したつもりでいても、1cm進むごとに変わる地面の状況にはとてもじゃないけど合わせられるものじゃなく、予想してたより大きく滑ってヒヤリとしたりもした。

 なのに、状況に応じて4輪のブレーキの効き具合をそれぞれ個別に制御してくれるヒルディセントコントロールのスイッチをプッシュすると、ドライバーはステアリングを操作するだけでペダルに触れることもないまま、まったく危なげなくジワジワと下っていけるのだ。こればかりは人間ワザでは絶対に追いつけない部分だろう。

 こうした並みじゃない悪路を走っているときにスウェイバーを解除すると、乗り心地は別のクルマに乗り換えたかのように好転する。サスペンションのストロークがさらに柔軟に、さらに長く伸びるようになるからだ。

 通常のラングラーでも悪路での走破性は相当に高いけど、ラフロードを好んで走る人にはこのシステムがあるだけでも「ルビコン一択でしょ!」と勧められる。

 また4ドアと2ドアでは、間違いなく2ドアの方がホイールベースが550mmも短い分だけ動きが機敏だし、凹凸の激しい場所で選べるラインの自由度も高い。

 車重が130kg軽いこともあって、スポーティであることにおいては断トツといえる。が、4ドアの方が前後のタイヤの距離が長い分だけ乗り心地はいいし、後席周りや荷室の使い勝手もいい。

 もはやSUVを当たり前のように街中で見る時代。特別な存在ではなくなった。生活の匂いが漂うSUVや夜の繁華街の匂いがするSUVではなく、野山や荒野の香りのする究極のオフローダーを選ぶのは、何だかとても素晴らしいことのように思える。だって、僕は自由にどこにだって行ってみたいのだ。

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