国内初設置から90年「信号機」どう進化? 新型信号機はなぜ薄型ボディを採用したのか
信号機が不要に? 導入進む「ラウンドアバウト」とは
信号機自体の進化が注目されるなか、信号機を設置することなく車両整理をするための仕組みも日本で導入されつつあります。その例が「ラウンドアバウト」です。
ラウンドアバウトとは、中央に円状の島(中央島)を設置し、その周囲に「環道」と呼ばれる一方通行車線を設け、そこに接続された各方向の道から進入、退出ができるようになっているものを指します。信号による停止・発進の指示はありません。
ラウンドアバウト自体の歴史は古く、1960年代にイギリスを中心としたヨーロッパで広く普及していましたが、日本で導入されたのはここ数年のことです。
以前から存在した円形の交差点となるロータリー交差点とは別のものである「環状の交差点における右回り通行」として、2013年6月14日に第43号改正道路交通法によってラウンドアバウトが定義されました。そして、2014年9月1日より本格的な運用を開始し、全国で19か所のラウンドアバウトが導入されました。
国土交通省はラウンドアバウトの導入効果として、交差点流入速度の低下や交錯か所の減少による安全性の向上をはじめとしたメリットがあると説明していますが、2020年3月に静岡県内で初めて複数の環状交差点を導入した、静岡県焼津市の担当者は次のように話します。
――環状交差点を導入された経緯を教えてください。
国道150号バイパスが整備されるなど、周辺の道路環境が変わるなかで、主道路の交通量が以前と比べて減少しています。また、交差する従道路の交通量は主道路に比べ、さらに少ない状況にあります。
そして、主道路は見通しの良いほぼ直線の道路であることから、通行車両の速度が高くなる傾向があり、交通事故が発生した場合には、重大事故につながる恐れがあります。
これらのことから、主道路の通行車両の速度を抑制し、路線全体の安全性の向上を図るとともに、信号停止による待ち時間を削減し、交差点の円滑性の向上を目的として導入しました。
――事故率の変化などの効果はあったのでしょうか。
最初に整備した「山の手環状交差点」においては、利用者から交差点の通過速度低下により、安全性が向上したという意見も多くいただいています。また、事故についても、重大な事故がなくなるなどの効果が確認されています。
※ ※ ※
新たに交差点が建設されるタイミングで導入されることの多いラウンドアバウトですが、通常の交差点より広大な面積が必要となることから、都市部では土地の確保が難しいことがネックです。また、交通量が多すぎる交差点では渋滞の原因となることも懸念されます。
今後も信号機は、交通社会の安全を保つうえで重要な役割を担う存在であり続けるでしょう。
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