相次ぐ大雨 クルマが浸水した時の脱出法とは? 窓が開かない場合はどう対処すべき?

近年、異常気象としてゲリラ豪雨の被害が盛んに報じられます。令和2年7月豪雨のような広範囲にわたる大雨や、台風などによる被害も相次ぐなか、クルマの運転中に心配なのが、浸水した場合の対処法です。クルマが浸水・冠水して脱出困難になった場合、乗員はどのように対処すればよいのでしょうか。

クルマが浸水! 車内からどう脱出すべき? 割るべきガラスはどれなのか

 近年、局地的に起きるゲリラ豪雨をはじめ、大雨による災害が多発しています。また、2020年7月に長期間にわたって大雨となった令和2年7月豪雨では、広範囲で甚大な被害が生じました。
 
 そんななか、大雨で道路が冠水すると、クルマが浸水して身動きがとれず、脱出困難になる場合も考えられます。
 
 国土交通省は、クルマが水没した場合の正しい対処法を確認するよう呼びかけていますが、いったいどのような方法なのでしょうか。

近年は大雨・台風などの災害による被害が多発している
近年は大雨・台風などの災害による被害が多発している

 直近で起きた、大雨によるクルマのなかでの被災事例を振り返ると、令和2年7月豪雨でも車内での被災があったほか、2019年の台風19号においても多数の人が車内で被災したといいます。

 国土交通省の担当者は次のように話します。

「令和2年7月豪雨では、熊本県内で避難中にクルマが水没し、高齢の男女2名が亡くなられたことが確認されています。

 そして2019年の台風19号では、亡くなられた人のうち、被災時の状況が判明している場合をまとめたところ、約3割がクルマのなかで被災していたことが判明しています」

 こうしたことから、国土交通省では水没した車両からの脱出手順を告知し、近年多発するゲリラ豪雨への備えだけでなく、台風シーズン前にできる対策をおこなうように呼びかけています。

 では、冠水した道路でクルマが浸水・水没した場合、どのように脱出するのが望ましいのでしょうか。

 国土交通省が呼びかける正しい脱出手順として、水位が低い場合はドアを開けて脱出を試みて、ドアが開かない場合は窓を開けて脱出するというものです。

 しかし、水による電気系統のトラブルで、電動パワーウインドウが開かなくなる場合も考えられます。

 そうしたときに重要となるのが、脱出用ハンマーです。脱出用ハンマーはカー用品店などで販売されているほか、多くの自動車メーカーが純正品として取り扱っています。

 車内にあらかじめ脱出用ハンマーを常備し、災害時には窓ガラスを破壊することで、ドアや窓が開かない状態のクルマから脱出することができます。

 このとき重要なことが、フロントウインドウを避けて割るべき、ということです。

 フロントウインドウには、飛び石対策や衝突事故時の乗員への被害軽減が考慮された「合わせガラス」が用いられていることから、ほかのガラスより割れにくいという特徴があります。

 窓を割って脱出する場合は、割れて脱出できる可能性が高いサイドウインドウやリアウインドウを選んだ方がよいでしょう。脱出用ハンマーを入手した際は、使用方法に加え、愛車の破砕可能な窓ガラスを事前に確認するのが望ましいです。

 なお、ドアが開かず窓を開けることも割ることもできない場合には、車内外の水位が同じになったときにドアが開く可能性が高まることを利用するなどして、最後まで脱出のチャンスをあきらめないことが重要といえます。

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