300万円台から2000万円まで、シトロエン「ハイドロ」歴代モデルの価値を考察
シトロエンを象徴するテクノロジーであった「ハイドロニューマティック」システムを搭載した車両は、現在でも愛好家に根強い人気を誇っている。では、歴代ハイドロニューマティックの車両は、どれほどの価格で流通しているのか、オークション落札価格から考察しよう。
マニアに愛されるシトロエン「DS/ID」シリーズ
英国「シルバーストーン・オークション」社がオンライン限定で開催したオークション「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」では、バラエティに富んだクラシックモデル、あるいはヤングタイマーたちが数多く出品され、あらゆるジャンルに属するクルマたちの国際マーケットにおける現況がかいま見られることになった。
今回はそのなかでも、日本を含む全世界でコアな愛好家を持つ、クラシック・シトロエンたちのなかでも、とくに往年のシトロエンを象徴するテクノロジーだった「ハイドロニューマティック」システムを与えられた、超個性的なモデルのオークション結果に注目した。
このオークションでは、現在の「DS」レーベルがオマージュの対象とする元祖DS/IDシリーズから、基本となるベルリーヌ(セダン)とエステートワゴンの「サファリ」、さらにごく少量がハンドメイドで生産された「デカポタブル(カブリオレ)」も2台が出品された。
そして、ハイドロ・シトロエンといえば忘れてはならない、マセラティの心臓を持つグランルティエ(グランドツアラー)のSMなど、きわめて興味深いオークションの「レビュー」をレポートする。
●シトロエン「DS21 EFI PALLAS」:1972年
1955年に誕生したDSシリーズのなかでも最終期に生産された「DS23EFI」は、従来のキャブレターからインジェクション化することによって130psのパワーを発生。20年間にわたって生産されたDSシリーズのなかでも、最も高性能なモデルとなった。
なかでも右ハンドル英国仕様のDS23EFIは、公式にはわずか2台のみしか生産・販売されていないとされていることから、そのうちの1台である今回の出品車両の希少性は申し分のないものといえるだろう。
また、DSではお馴染みの半自動トランスミッション「Cマティック」ではなく、よりイージーなトルクコンバータ式ATや、ライン装着のエアコンディショナーも備える。
2020年7月31日の競売では、3万1500ポンド(邦貨換算約436万円)で落札。日本国内のシトロエン専門ショップでDSを探す場合にも、おおむねこのクラスの価格設定が多数を占めているところを見ると、現在のマーケット相場感に近い価格が維持されたと思われる。
しかし希少性を加味すれば、実はかなりお買い得な一台だった……、という見方もあるだろう。
●シトロエン「DS23サファリ(ブレーク)」:1973年
この時代のシトロエンは、英国ロンドン近郊スラウにも工場を設けて、大規模な生産をおこなっていた。
ここで紹介する「DS23サファリ」も、スラウ工場で生産された一台。フランス本国のワゴン版が「ブレーク」と呼ばれたのに対して、イギリス生産車両には独自に「サファリ」の名が授けられ、当時のイギリスで購入できる量産ワゴンのなかでは、もっとも高級なモデルとして高い人気を誇っていたという。
今回のシルバーストーン・オークションに出品されたDS23サファリは、フランス本国ではオプション指定だったといわれる本革レザーシートが標準装備されているなど、魅力的なディテールを持つ。
落札価格は2万6438ポンド(邦貨換算約366万円)となったが、これはけっこうリーズナブルだったのでは……? というのが、筆者の率直な印象である。
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