「ランエボ」だけの専売特許じゃない!? 他にもあったエボリューション車5選

日本でも人気があった欧州エボリューションとは!?

●ボルボ「240ターボエボリューション」

無骨なフォルムから想像できない速さをみせた「240ターボエボリューション」
無骨なフォルムから想像できない速さをみせた「240ターボエボリューション」

 現在、日本でも販売が好調なボルボのモデルは、美しいデザインと先進的な機能が特徴です。

 一方、かつてのボルボ車というと、質実剛健で、とくに安全性能が高いというイメージでしたが、それを覆すことになったのが「240ターボ」です。

 240シリーズは1974年に発売され、ボディタイプは2ドアセダン、4ドアセダン、そしてステーションワゴンをラインナップ。

 搭載されたエンジンは2リッターと、2.1リッター直列4気筒が設定され、1981年にはターボチャージャーが装着された「240ターボ」が登場。

 155馬力を発揮する2.1リッターエンジンにより0-100km/h加速は9秒、最高速度195km/hを達成するなど、高性能さがクローズアップされていました。

 さらに、欧州で開催されていたヨーロッパツーリングカー選手権に240ターボで出場するため、1983年にグループA規定に則った500台限定の「240ターボエボリューション」を発売。

 240ターボエボリューションには大径ターボチャージャーが装着され、吸気管内に水を噴射してエンジン内部の冷却と空気密度を高める「ウォーターインジェクション」が装備されていました。

 レース用では最高出力300馬力以上を発揮し、空力性能が良いとはいえないフォルムにも関わらず、最高速度は260km/hに達したといいます。

 ボルボがETCに本格参戦した1984年は2勝にとどまりましたが、翌1985年には14戦中6勝し、チャンピオンを獲得。1985年の全日本ツーリングカー選手権最終戦にも遠征してきており、圧倒的な速さを見せつけています。

 240ターボエボリューションは、BMW「635」やローバー「3500 V8」といった、スタイリッシュで大排気量のエンジンを搭載したマシンを相手に、無骨なスタイルと小排気量エンジンで戦い、その速さを称賛する意味で「空飛ぶレンガ」と呼ばれ、親しまれました。

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●ランチア「デルタHF インテグラーレ エボルツィオーネ」

ラリーでの活躍によって日本でも高い人気を誇った「デルタHF インテグラーレ エボルツィオーネII」
ラリーでの活躍によって日本でも高い人気を誇った「デルタHF インテグラーレ エボルツィオーネII」

 1970年代の終わり頃から、欧州メーカーのコンパクトカーはFF化が進みました。そこで、ランチアが1979年に発売した「デルタ」は、1ランク上の質感が特徴のFF5ドアハッチバックとしてデビュー。

 コンパクトなボディに搭載されたエンジンは1.3リッター、1.5リッター、1.6リッターの直列4気筒ガソリンに1.9リッター直列4気筒ターボディーゼルと、シティユースに適したベーシックカーとして開発されました

 ところが、1986年にWRCに参戦する目的で、165馬力のハイパワーなエンジンを搭載し、フルタイム4WDを採用した「デルタHF 4WD」を追加ラインナップ。

 なお、開発はすべてアバルトの手によるものです。

 1988年には、さらに最高出力185馬力まで高められたエンジンを搭載した「デルタHF インテグラーレ」を発売します。

 また、サイズアップしたホイールとタイヤを収めるために、前後ブリスターフェンダーとしたワイドボディを採用して迫力ある外観に一新。

 サスペンションはベース車と変わらず4輪ストラットですが、スポーツ走行に適したチューニングが施され、大径化された4輪ディスクブレーキも装備するなど、高い走行性能を発揮。

 1987年からグループAカテゴリーによって争われることになったWRCに参戦すると、初年からメーカータイトルを奪取するなど、高性能さをアピール。

 そして、1992年にはさらにフェンダーを拡幅し、210馬力を誇る「デルタHF インテグラーレ エボルツィオーネ」が登場。

 翌1993年には「デルタHF インテグラーレ エボルツィオーネII」を矢継ぎ早に発売。ちょうどランサーエボリューション、スバル「インプレッサWRX」もWRCに参戦した年だったことから、アップデートが急務だったといえます。

 最高出力は215馬力までアップし、エンジンの制御系にも大きく手が入れられている一方、エアコンがオプションだった以外は比較的豪華仕様で、後にエボルツィオーネIIをベースにした数多くのプレミアムな限定車も発売されました。

 日本でもデルタHF インテグラーレは人気が高く、6年連続でWRCのメーカータイトルを獲得したことも、人気の理由ではないでしょうか。

※ ※ ※

 今回、紹介した5台のエボリューションモデルは、すべてモータースポーツに関係しているモデルです。

 レースの世界では必ずライバルが存在し、勝つためには進化を続けなければなりません。

 近年、国産メーカーは市販車をベースにしたレースへの参戦に消極的になってしまい、また、そうした市販車ベースのレースも減ってしまったこともあり、このようなエボリューションモデルが登場する機会は減ってしまったのは寂しいところです。

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1件のコメント

  1. パジェロ・エボリューションは、98年のパリダカで1位から4位を独占しています。2位なんかではありません!

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