日本の大手メディアなぜ自動車メーカーに厳しい? コロナ禍で見えた世界の決算報道の違い
新型コロナウイルスが経済へ与える影響が深刻になるなか、2020年8月6日にトヨタが2020年第1四半期(2020年4月から6月期)の決算を発表します。トヨタより先に発表した日産をはじめとした自動車メーカーは、赤字を計上するなど苦戦を強いられていますが、こういった状況について日本と諸外国を比べると決算報道のスタンスが大きく異なるといいます。世界の情勢を含め、どのような状況なのでしょうか。
新型コロナ禍での各自動車メーカー決算の内容は
世界規模での新型コロナ禍のなか、自動車メーカーの2020年第1四半期(2020年4月から6月期)の決算報告が始まっています。当然ながら押し並べて厳しい数字です。
世界のトップを切って発表した日産は、2855億円の赤字(2020年第1四半期)でした。驚いたことに日本の大手メディアの記事を見ると、皆さん日産に対し厳しい内容。「それ見たことか」みたいな雰囲気です。
新型コロナ禍は大げさな表現でなく、世界人口の4分の1が感染したという1918年のスペイン風邪に匹敵するといわれているほど、人類共通の脅威だと思います。
実際、仕事で飛行機や新幹線に乗ると空席の多さに驚き心配になりますし、ガラガラの飲食店を見れば店主の心労が心に浮かびます。大手メディアは安全地帯かもしれないけれど、皆さん一生懸命です。
一番「何を考えているのか?」と感じたのは、トヨタが発表した2019年度(2019年4月から2020年3月)の決算発表です。
大手メディアの皆さん、「トヨタ80%の減収!」などと報じました。
しかしトヨタが80%減収といっているのは、いまだ予想すら出来ない2020年4月から2021年3月期のことで、2019年度は1%の減収にしかなっていません。
新型コロナ禍で厳しい状況になることを見越して数字を出したのに、それを悪材料として扱った。苦しんでいる企業に対する配慮のカケラすらないです。日産の赤字報道だってその流れ。
こうなると、8月6日に発表されるトヨタの2020年第1四半期の決算発表も、厳しい報道になることが容易にイメージ出来ます。大物を叩けばカッコよくみえる、ということでしょうか。
現時点でトヨタの決算内容はわかりません。ただ、赤字になって当然だと思います。
世界の自動車メーカーを見るとどうでしょうか。
2019年に販売台数世界第一位となったフォルクスワーゲン(VW)グループといえば、2020年の4月から6月期で2000億円の赤字。ディーゼルゲートショックから抜けだし、好調になりつつあっただけに残念です。VW本体だけでなく、アウディやシュコダも厳しい状況。
販売台数世界第二位がトヨタ。第三位となった日産ルノー連合は、日産の赤字2855億円に驚いていたら、ルノーが9000億円という巨額の赤字決算(2020年1月から6月期)を発表しました。大株主であるフランス政府も看過出来ないレベルです。
そして第四位のゼネラルモーターズ(GM)も800億円の赤字(2020年4月から6月期)。アメリカや欧州を代表するような大企業すら、新型コロナ禍で苦しんでいます。
アメリカやドイツの報道を見ると、いずれもGMやVWに同情的です。人類みんなで新型コロナ禍に向き合っていこうというムード。なぜか日本のメディアだけ、自動車メーカーに厳しいのです。
8月6日におこなわれるトヨタの2020年第1四半期ではどんな報道内容になるのでしょうか。大手メディアには、日本の良き応援団になって欲しいと思います。
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。
日本の自動車メーカーの販売台数に疑問
販売台数少なかったらディーラーが登録して販売台数をあげるので 実際の数字はもっと低いと思われる