なぜ新型SUVは新色が人気に!? 日本人が車の色にこだわる訳

日本人は色に敏感!? 無難な白よりカラフルな色が人気

「クルマの色は白が無難」という常識が、日本では長年まかり通ってきた印象があります。

 いまでも、クルマの買取業者の査定基準では、モデルによって白系がほかの色より買取価格が有利になる傾向がみられます。

ダイハツ新型「タフト」(レイクブルーメタリック)
ダイハツ新型「タフト」(レイクブルーメタリック)

 また、新車を購入する際に「白だと下取り価格が数万円高い」と説明するディーラーの営業マンがいて、実際、筆者(桃田健史)も新車を購入したときにそういう話を担当者から聞きました。

 このような背景があるにもかかわらず、SUVを選ぶユーザーは、メーカーが設定するカラフルな新色を好む傾向があるのです。キックスについてボディカラーを重視するとは、そういう意味です。

 ボディカラー重視の傾向は、軽クロスーバーSUVのダイハツ「タフト」でも共通です。

 ダイハツによると、発売1か月での販売実績は月販目標台数の4.5倍に相当する約1万8000台。人気のボディカラーは、新色として導入した「レイクブルーメタリック」、「フォレストカーキメタリック」、「サンドベージュメタリック」の3色だといいます。

 では、なぜ日本人はSUVのボディカラーにこだわるのでしょうか。その背景には大きくふたつの要素があると考えます。

 ひとつは、そもそも日本人は色に対する感性が鋭いという点です。

 アメリカで以前、日系メーカー各社のデザインスタジオを取材した際、「同じ色を見ていても、人によって色の見え方が違う」という話を各社のデザイナーから聞きました。

 医学的な根拠については定かではありませんが、デザイナーたちの日常業務のなかで、デザイナーやユーザーの出身国などによって、色に対する感性というより、色そのものの見え方が違うように感じるというのです。

 また、クルマのデザインで重要な、光がつくる影による濃淡についても、見え方に差があるようです。

 そのうえで、あくまでも数人の日本人デザイナーの意見ですが、「(少なくともクルマについて)日本人は色についての感性が高いのではないか」と指摘します。

 もうひとつは、SUVのギア感という商品性です。

 ギアとは、生活必需品という感覚を少し超えた、アウトドアなどアクティブなレジャーを目的、またはイメージする商品を指します。

 クルマ以外で、ギアっぽいイメージがある衣料や雑貨では、カラフルな色味の商品が市場に数多く出回っています。そうした影響が、SUVに及んでいるのではないでしょうか。

 トヨタに続き、日産でも本格化してきたSUV新車攻勢。そうしたなかで、日本人ユーザーのクルマのボディカラーに対する要求は、ますます強まっていくのかもしれません。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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