あとは「ヤリス」に託した! と思いきや2020年上半期に1万台以上売れる「ヴィッツ」の底力とは

トヨタ新型「ヤリス」が2020年2月に発売された後も、先代モデルの「ヴィッツ」は2020年上半期の販売台数を1万台も売り上げました。なぜ、新型モデルの発表後もヴィッツは売れ続けたのでしょうか。

ヤリス登場によってお役目交代? それでも半年で1万台を売り上げる理由とは

 コンパクトカーの一時代を築いてきたトヨタ「ヴィッツ」は、2020年2月に車名変更をおこなって新型「ヤリス」が登場するも、同年上半期(1月から6月)の販売台数は1万40台と堅調な台数を販売しています。なぜ、モデル末期ながらこれほどまで売れたのでしょうか。

ヤリス登場後も好調? 2019年末で生産終了した「ヴィッツ」
ヤリス登場後も好調? 2019年末で生産終了した「ヴィッツ」

 ヴィッツは、人気のコンパクトカー「スターレット」の後継として1999年に誕生。当時、コンパクトカーといえば、日産「マーチ」やマツダ「デミオ」、ホンダ「ロゴ」といったモデルが存在していました。

 これらの車種は価格の安さに重きを置いて開発される一方で、ヴィッツは従来のコンパクトカーにおけるイメージを覆すように、室内空間の広さや衝突安全性能、環境性能の高さにこだわり、爆発的なヒットを記録します。

 その後、2005年にはプラットフォームを刷新した2代目モデルが登場し、初代モデルから一回り大きくなったことで、全幅1695mmと5ナンバーサイズの上限(全長1700mm以下)まで拡大しました。

 2010年12月には、さらなるフルモデルチェンジを遂げ、最後のヴィッツとなる3代目が誕生します。世界70か国以上で販売されるほか、累計販売台数350万台を突破するなど、トヨタを代表するクルマへと成長を遂げています。

 そして、2020年2月のフルモデルチェンジにより、新たなスタートとして車名を海外で用いられていた「ヤリス」に変更します。ヴィッツで培ってきたコンパクトカーの技術を搭載しながら、世界トップレベルの燃費を誇るコンパクトカーとして、新時代を築いていくクルマへと生まれ変わりました。

 ヤリスの登場により、完全なるお役目交代となったヴィッツですが、過去3年間の売れ行きは非常に好調でした。2017年の年間販売順位は8位(9万258台)、2018年は8位(8万9910台)、2019年10位(8万1554台)など、普通車の年間販売台数のなかでもトップ10入りを果たしています。

 そして、ヤリスの登場後もなお、先述のとおり2020年上半期の販売台数は1万台をキープしている状態です。なぜ、現在もヴィッツは売れ続けているのでしょうか。都内のトヨタ販売店は、以下のようにはなします。

「2020年上半期も、ヴィッツが1万台を超える販売台数を誇る理由には、納車のズレがあげられます。まず、ヴィッツは2019年末の段階でオーダーはストップしており、2020年に入ってからは注文することができません。

 そのため、2019年末に注文が殺到したことで納車がズレ込み、2020年の販売台数に大きく影響したと考えられます。

 実際、ラストヴィッツを購入された人の多くは、モデル末期による値引き狙いでした。また、ヤリスほどのスペックは求めていないほか、大きさ的にも手の届きやすい価格で購入できることから注文されるユーザーが目立ちます。そのため、ラストヴィッツはあっという間に売れました」

※ ※ ※

 このように、ヴィッツの納車期間は、約2か月から3か月掛かることもあり、年末に注文が殺到したことで、2020年の上半期に大きく影響を与えたようです。

 また、注文が殺到した背景には、ヤリスとヴィッツの価格差があげられます。ヤリスは、世界トップレベルの燃費性能や先進技術を駆使した安全装備し、エントリーグレードは139万5000円です。

 一方、ヴィッツのエントリーグレードは120万2400円からと20万円近く安くなっており、最新の燃費性能や安全装備などにこだわりを持たないユーザーにとっては丁度いいクルマとして、購入者が殺到したとトヨタ販売店は話します。

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