夢の「空飛ぶクルマ」あと3年で本当に実用化!? 飛び立つための残された課題とは

「空飛ぶクルマ」を持続可能なビジネスとしてどう展開する?

 もうひとつ、福澤社長との意見交換のなかで感じた課題は、事業としての出口戦略を具体的にどう描くのか、という点です。

 これは、スカイドライブという一企業のみならず、国全体としての大きな課題です。

スカイドライブのコンセプトモデル「SD-XX」
スカイドライブのコンセプトモデル「SD-XX」

 スカイドライブが掲げる、2023年の有人機実用化。これは、2018年に経済産業省と国土交通省が立ち上げた「空の移動革命に向けた官民協議会」のロードマップに則ったものです。

 2023年実用化は、内閣府の成長戦略にも盛り込まれた国家プロジェクトなのです。この分野で先行して実用化を推進するアメリカや中国を見据えた動きだといえます。

 官民協議会では、航空法などによる法制度の整備や、技術開発についての議論は盛んなのですが、事業としての出口戦略が明確に見えてこない印象があります。

 緊急・救急など有事対応には、一定の需要があると思いますが、対象となる事業数は限定的で収益拡大の度合いもさほど高くないと予想されます。

 一方、タクシー事業など平時での社会インフラとして普及を目指すからには、自動車など地上交通はもちろん、さまざまな職種領域と連携し、低空域をどう活用し、どのようにして持続可能なビジネスとして育てていくのかが問われます。

 こうした社会全体の視野を持って考えるという点では、EVや燃料電池車、そして自動運転でも同じこと。ひとつの商品、ひとつの技術についてではなく、「人と社会と新しいモビリティ」という関係の在り方について、ひとりひとりがどう考えていくのか。

 皆が新しい日本、新しい世界を考える上で、スカイドライブが良き刺激であり続けることを期待します。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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