夢の「空飛ぶクルマ」あと3年で本当に実用化!? 飛び立つための残された課題とは

トヨタやトヨタ関連企業などの出身者によって設立された「スカイドライブ」が、2023年の実用化を目指して「空飛ぶクルマ」の開発をおこなっています。2020年7月22日には、ウェブ会議システムを用いた意見交換会をおこない、空飛ぶクルマの開発状況や課題が明らかになったのですが、あと3年後に迫った実用化までに残された課題とはいったいなんでしょうか。

本当に飛べるの? 2023年の空飛ぶクルマ実用化までに残された課題とは

 世界各国で実用化を目指している、空飛ぶクルマ。イメージとしては、ドローンに代表される4つの回転翼を持つクワッドコプターといった感じのタイプが多くあります。

 航空機大手やベンチャーが実用化に向けてしのぎを削っているのですが、日本にも注目の企業があります。その名は「スカイドライブ」。果たして、彼らの夢は実現するのでしょうか。

スカイドライブがおこなう空飛ぶクルマの開発の様子
スカイドライブがおこなう空飛ぶクルマの開発の様子

「このように、我々は豊田市郊外の施設で有人機の飛行試験を重ねていて、2023年には(空飛ぶクルマの)タクシー事業サービスを始める予定です」

 スカイドライブの福澤知浩社長は、2020年7月22日におこなわれた日本自動車ジャーナリスト協会に加盟するジャーナリスト約20人とおこなったオンライン会議のなかで、そういい切りました。

 同社は2012年、トヨタやトヨタ関連企業などの有志が新しいモノづくりを目指して集まった「カーティベーター」という団体が起源。福澤氏もトヨタの出身者です。

 2018年7月に株式会社スカイドライブとして事業化し、飛行実験の様子がテレビなどで度々紹介されており、すでにご存じの人もいるかもしれません。

 スカイドライブが現在進めている製品事業は、大きくふたつあります。

 ひとつは、無人の小型運送機「カーゴドローン」。想定仕様が全長1.3m×全幅1.7m×全高1m、機体重量が25Kg。最大積載量は30Kg。4つの回転翼を持つ産業用ドローンで、2020年5月から予約販売を始めました。

 もうひとつが、いわゆる空飛ぶクルマに相当する、有人機です。

 コンセプトモデル「SD-XX」は、全長4m×全幅3.5m×全高1.5mで、前後ひとりずつ、ふたり乗りの垂直離着陸機となっています。

 駆動は電動モーターでプロペラは機体四隅に8つあります。機体と乗員含めた最大離陸重量が500Kg。飛行速度は100km/h、高度は500m以下、航続時間は20分から30分間です。

 そしてSD-XXは地上走行も可能となっており、走行速度は60km/hで、航続距離は20kmから30kmとなります。

※ ※ ※

 さて、福澤社長との意見交換のなかで気になった技術的な課題は、やはり電池です。

 コンセプトモデルで提示した飛行性能を確保するには、軽量で高性能な電池が必要となります。

 量産機で目標とする電池容量について福澤社長は公開しませんでしたが、一般的な解釈という前置きをしてから「電池パックの重量は最大離陸重量の1/3程度」と説明しました。

 コンセプトモデルの数値で考えると170Kg程度となります。また「電池は交換式とする」として、充電時間に関する課題は解決できそうです。

 同じく電動であるEV(電気自動車)の場合、モーター出力を上げ、航続距離を延ばすには、電池パックを大型化する手法がとられています。

 テスラのEVや、ポルシェ「タイカン」、また日産「アリア」は電池容量90kWhから100kWhという巨大な電池パックを床下に配置しています。

 全体重量が上がっても、それを活かしたずっしりとした走り味を演出することで、重量増をネガティブな要因としない考え方を用いることが可能です。

 一方、空飛ぶクルマは、機体の小型化を優先するため、電池パックの大きさに制約が生じます。そのため、高いエネルギー密度など、電池そのものが高性能化する必要があります。

 有人機と比べてかなり小型軽量な無人機「カーゴドローン」の航続時間は15分間。他社のドローンを含めて、これが現在発売されている産業量ドローンで採用されているリチウムイオン電池の実状です。

 果たして、2023年実用化の有人機は、どんな電池で、電気容量はどれほどで、実質的な飛行性能がどうなるのか。電池メーカーを巻き込んださらなる技術開発が望まれます。

 見方を変えると、本来EVは通信によるコネクテッド技術や自動運転技術によって、移動の最適化をおこなうため、電池パックの大型化や航続距離を伸ばすことは、EVの主要な目的ではないはずです。

 そうした観点から、空飛ぶクルマによって、電動移動体の電池に対する考え方が改めて議論されることは、自動車産業にとって良き参考になると思います。

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