タイヤが「ハの字」何のため? 車検は通る? 「ネガティブキャンバー」のメリット・デメリット
純正でネガキャンになっているクルマも存在!?
ネガキャンのメリット・デメリットとは、どのようなことなのでしょうか。整備や板金・補修もおこなう、秀自動車の高島氏に聞いてみました。
「平坦な道を走るなら、キャンバー角は0度がいいのではと思われがちですが、カスタムしていないクルマにおいても、必ずしも0度ではないことがあります。
これはクルマの構造や用途によってキャンバー角が設定されていて、たとえば荷物を積むことを想定したクルマは、純正でポジキャンになっていて、荷物を積んではじめてニュートラルになるように設計されているものもあります」
サスペンションやタイヤは、ニュートラルではじめて性能を発揮できます。純正のクルマはキャンバー角が0度になっているものと思われていますが、実際は、-1度程度のネガキャンになっているクルマが多いのだそうです。
「とくに、ミニバンやSUVなど重心が高く車重がある車種は、リアタイヤがネガキャンになっている傾向があります。初期設定からネガキャンにすることで、コーナリング時に踏ん張って、リアのブレーク(タイヤのグリップ力を超えて滑ってしまうこと)を防ぐ効果を狙ってのものだと思います」
ちなみにスバル「レヴォーグ」やトヨタ「RAV4」、ホンダ「ステップワゴン」などは、フロントは0度、リアは-1度の指定があります。
トヨタ「スープラ」などはフロント-1度、リア-2度の立派なネガキャン、三菱「デリカD:5」は前後ともに0度指定のニュートラルになっているなど、車種や構造などによって純正でも角度がついているのです。
純正でも微妙な角度でネガキャンになっているクルマが増えていることが分かりましたが、ではこの状態にするメリットは何なのでしょうか。
「角度をネガキャンにしておくメリットとして、直進安定性の向上と、コーナリング中のハンドル操作に対する反応がよくなることが挙げられます。
左右ともに内側に向けて角度がつくネガキャン状態では、左右のタイヤが双方で内側に切れ込もうとする力が働いており、直進では左右でお互い打ち消しあうので直進しやすく、ハンドル操作をしたときには反応が良くなるわけです。
またコーナリング中にリアタイヤが踏ん張った状態になるので、車重の重いクルマなどはリアタイヤのグリップを活かせるメリットがあります」(高島氏)
また一般的な道路は、側溝などに雨が速やかに流れるように「横断勾配」と呼ばれる微妙な角度がついており、平坦ではありません。
これもキャンバー角がニュートラルより直進性が高いネガキャン状態にしておくことで安定感が増す理由にもなっているのだそうです。
しかしネガキャンは、適正値以上に角度を付けすぎるとデメリットしかないといいます。
「ネガキャンは、高速旋回時にタイヤが遠心力や重力でたわむことを事前に想定してセッティングされるものです。不必要なネガキャンは、タイヤの偏摩耗や、推進力に対する抵抗が増えるだけです。
さらに直進しているときのタイヤの接地面が減り、トラクションやブレーキ性能も悪化してしまいます。タイヤの内側ばかりを使った状態になってしまうケースが多く、見た目のドレスアップ効果以外ではほぼメリットがないといえます」(高島氏)
タイヤが偏摩耗してしまうと、タイヤのローテーションも難しくなってしまいます。最近のクルマはキャンバー角が任意で変更しにくくなっているのも、デメリットが圧倒的に多いからでしょう。
「あくまでキャンバー角は純正の適正値内にとどめておき、ハンドリング操作のフィーリングを変えたいならタイヤのサイズなり、トー角を調整するほうが得策だと思います」(高島氏)
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クルマの性能はサスペンションとタイヤが想定範囲内でしっかり仕事をできる状況で、はじめて性能を発揮するようになっています。
極端なカスタムはデメリットとなりますが、ハイグリップタイヤに履き替えたりホイールをインチアップしたりすることで、見た目も走行性能もアップさせることができるそうです。
フロント30度、リア50度じゃないですよ。それぞれのタイヤの中心線から前側は30度、後ろ側は50度という事です。ご自身が理解できていない事を書くときには、十分にご注意下さい。