販売終了から11年… ホンダ「S2000」が20年目のマイチェン!? 新パーツの驚きの実力
ただの記念パーツでは無い!? マイナーチェンジレベルの進化とは
スポーツサスペンションにはフロントのみ減衰力調整機構が備わっており、まずは中間にあたる「3」にセットし走り出してみると、最初に感じるのはフロントタイヤの接地感が高いことです。
そしてステアリングを通して伝わる情報量の多さでした。左右のフロントタイヤが掴んでいる路面の状況がしっかりとわかるから、雨の路面でも怖さはありません。それでいてステアリング操作に対するレスポンスは過敏すぎることもなく、実に自然な味わいです。
ベースモデルのS2000は、とくに初期モデルの操縦性は「ピーキー」と評価されることが多いですが、このS2000 20th Anniversary装着車はそんな印象はすっかり影を潜めている印象です。
ただ市街地での走行をメインとするならば、段差を乗り越えるときなど、やや乗り味を硬質に感じる人もいるかもしれません。
そこでフロントサスの減衰力を「2」や「1」まで柔らかくして走ってみると、しっかりとした手応えのなかに、しっとりとした乗り心地が加わってきます。
市街地を走るぶんには、個人的には「1」でもいいくらい。ただそうするとフロントとリアで減衰力のバランスが崩れ、コーナリング時にやや前後が離れて曲がっていくような動きも感じられます。このあたり、走るステージに合わせて減衰力を調整するというのも、オーナーならではの楽しみかたといえるでしょう。
そしてこのフロントの接地感の高さは、サスペンションだけでなくエアロパーツによるところも大きいのです。というのも、同時に試乗した我が愛車S2000と比べると、S2000 20th Anniversary装着車のコーナリング時における安定性の高さは明らかなのです。
「四輪で舵を切る」というModuloのフィロソフィを、サスペンションとエアロパーツとの組み合わせで体現しているといえます。
このフロントエアロバンパーは、フロントノーズを約24mm延長しているほか、フロントグリル内にはリブ状の突起を設定して走行風を積極的に「流す」形状としています。
さらにバンパー左右には膨らみが与えられており、ステアリングを切った際にタイヤが車体からはみ出る部分をカバー。カタチだけでなく機能性を併せ持つデザイン、Moduloの「実効空力」コンセプトを改めて感じさせます。
空力効果はもちろん、2台を並べてみると想像していた以上にスタイリングの変化は大きく、延長されたフロントノーズはS2000の表情に精悍さを加えています。
室内においては、限定販売個数をあっという間に売り切ってしまったというオーディオリッドの存在感が抜群。ブラックを基調としたダッシュボードとのマッチングも素晴らしく、統一感を感じさせてくれます。
そしてもうひとつS2000オーナーとして嬉しいのはフロアマットです。というのも、今回のS2000 20th Anniversaryに設定されたフロアマットは、ABCペダルからシート下までを覆ってくれるロングタイプ。そしてS2000のすべての年式のモデルに装着が可能となっています。
実は、S2000の純正フロアマットは前期/後期で形式が異なっており、後期ではロングタイプが標準設定となっていますが、前期モデルではショートタイプとなっていました。しかし前期モデルに後期のフロアマットは装着できなかったため、社外品に交換しているオーナーも多いのです。
そこで今回のS2000 20th Anniversaryでは、前期/後期ともに装着できるロングタイプのフロアマットを新規に開発。S2000オーナーが本当に求めている用品を開発するという、S2000 20th Anniversaryを象徴するようなパーツといえます。
そして今度は、フロントの減衰力を「4」そして「5」へと高めてみます。すると明らかにワインディングをメインステージにしたと思われる、スポーティなフィーリングへ変化したことが感じられます。
駐車場内を移動するようなわずかな速度域でも、ステアリングの操舵角にフロントノーズの動きがリニアに連動し、しかもフィーリングは一定してかわらずでした。
ホンダアクセスが「ワインディングマスター」と定義する、ストリートでの快適性を保ちつつも、ドライバーが意のままに車両をコントロールできる脚まわりを体験できます。
エアロパーツとサスペンションのトータルコーディネートにより、まさに「20年目のマイナーチェンジ」を完成させたS2000 20th Anniversary。
いずれのパーツも、S2000の全年式のモデルに装着が可能という点も魅力です。現在、S2000を所有するオーナーはもちろん、これから中古でS2000を購入しようかと考えている人にも、ぜひこの乗り味を体験していただきたい。
ベース車両が本来持っている魅力を取り戻すリフレッシュと、現代のタイヤに合わせたリセッティングというふたつの側面を、高いトータルバランスに拘りつつ実現したS2000 20th Anniversaryは、まさに2020年モデルのS2000と呼ぶにふさわしい仕上がりでした。
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