トヨタ「2000GT」の功罪。短命だった理由とは?【THE CAR】
トヨタ2000GTの「罪」とは?
日本車の最高峰。今や伝説のクルマとなった。近年の”相場急騰”は、もちろん作為的な面もあったのだろうが、クルマそのものの魅力や価値に、他の国産車にはない”何か”を世界中のエンスージアストが反応したからにほかならない。
それが、モノの価値となってストレートに現れるのが、オークション相場というものだ。
翻って、「罪」とは何だろうか。それは、今や世界一となった自動車メーカーから、本当のスポーツカーを造るという機会を長らく失わせてしまったということである。
トヨタ2000GTは彗星の如く現れ、疾風の如く去った。その意味するところは、ビジネスとしてのスポーツカーが、トヨタの経営という文脈からは大きく外れてしまったということ。事実、トヨ2の歴史をトヨタが大切にし始めるのは、つい最近、21世紀に入ってからだったし、それまでは、社内的にタブーな存在だったという。
極論をいうと、トヨタという人も金も、即ち力のある会社が、クルマ造りに没頭するという機会すら、しばらくの間、奪ったのではなかったか。
あれだけのメーカーでありながら、トヨ2以降で心血を注いだと自他ともに認めうるクルマといえば、初代レクサスLS(セルシオ)とLFA、そして初代プリウスにミライ程度のものだろう。他に、目立って凄いクルマの出現はなかった。
要するに、トヨタ2000GTは偉大すぎたのかも知れない。そして、その偉大なモデルを、自らの手を油まみれにして作ったのではなかったという事実が、また、問題を複雑にした。
間近に寄ると、抱え込めてしまうんじゃないか、と思うくらいに小さい。このサイズでこのスタイリングが成立しているということが、トヨ2最大の魅力であることを改めて思い知る。
小さなドアを明け、ほとんど地面に座るかのように運転席へと体を滑り込ませた。いつみても素晴らしい景色だ。美しいダッシュパネルにメーターがすっきりと並んでいる。華奢なステアリングホイールに時代を感じる。
ひと捻りで目覚めた3M型DOHCエンジンからは、3連の三国工業製ソレックス型ツインキャブの息づかいとともに、いかにも機械らしいメカニズムの動作が、心地よい振動となってドライバーに押し寄せる。
拍子抜けするほどあっさりと走り出した。車重に見合ったトルクというべきだろうか、とても扱いやすい。
ドライビングフィールは、1950~1960年代に典型的な、FRグランツーリズモそのものだ。シャシーに1本の骨太な筋の存在を感じるのがトヨ2の特徴で、例のバックボーンフレーム構造が即座に思い出される。
クルージングが気持ちいい。ハイトのあるタイヤと安心感あるシャシーのおかげで、乗り心地もよく快適に巡航する。コーナーではハンドルを抱え込むようにして旋回すると、素直にノーズの向きが変わって、気分がいい。
決して、速さを期待してはいけない。けれども自ら操っているという感覚が何ともスポーティ。絶対的な速さだけがスポーツカーの魅力ではないことを、トヨ2もまたよく教えてくれる。
日本にトヨタ2000GTがあって本当に良かったと、改めて思う。
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●TOYOTA 2000GT
トヨタ2000GT
・生産年:1967-1970年
・年式:1967年
・総排気量:1988cc
・トランスミッション:5速MT
・最高速度:220km/h
・全長×全幅×全高:4175×1600×1160mm
・エンジン:直列6気筒DOHC 24バルブ
・最高出力:150ps/6600rpm
・最大トルク:18.0kgm/5000rpm
そもそも持ち込み企画でエンジンまで持ち込み会社。
レクサスLAFのエンジンもヤマハだから功罪どころか評価のしようがない話。