「80スープラ」が約1500万円!! バブルを賑わせた日本車の海外オークション最新情報!

チューンドR32型GT-RとオリジナルFD3S RX-7は、どっちが高い?

 2020年3月の「アメリア・アイランド」オークションまでは着々と地位を築いてきた、日本製クラシックカー/ヤングタイマーたち。

 ところが、新型コロナ禍の勃発以降に、同じくRMサザビーズ社が苦肉の策として5月21日から29日に開催したオンライン限定オークション「DRIVING INTO SUMMER」では、少々厳しい洗礼が待ち受けていた。

●日産スカイラインGT-R(1991年)

約482万円から約589万円というエスティメートに届かなかった1991年型日産スカイラインGT-R(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
約482万円から約589万円というエスティメートに届かなかった1991年型日産スカイラインGT-R(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 このオークションで注目を集めた日本車のなかには、アメリカのJDM愛好家の間でもカリスマ的モデルとして崇められる日産「R32型スカイラインGT-R」があった。

 海外のファンにとっては長らく憧れの対象でありながら、日本からは門外不出に近い状態が続いていたR32型GT-Rだが、いわゆる「25年ルール」の適用でアメリカ合衆国内での登録が可能となった2010年代中盤以降は続々と海を渡り、今では「GODZILLA(ゴジラ)」の愛称で親しまれているという。

 いかにもアメリカのJDMファンが好みそうなチューンドカーに仕立てられたこのR32型GT-Rに、RMサザビーズ社では4万5000ドルから5万5000ドル(約482万円から約589万円)というエスティメートを提示していた。

 しかし5月21日に、まずは2万2000ドルからスタートしたオンライン競売は、一週間後の締め切り直前に3万6000ドル(約388万円)まで上昇したものの、ここで競売は終了。この車両のオーナーが秘密裏に示したリザーヴ(最低落札価格)には今一歩及ばなかったようで、あえなく「No Sale(流札)」となってしまった。

 これまでアメリカ国内の対面型オークションでは、800万円を超える落札もあったR32型GT-R。にもかかわらず「DRIVING INTO SUMMER」出品車両の入札が振るわなかった理由については、RMサザビーズ公式HPに記されたPRフレーズでは「Tastefully modified(味のある改造)」と謳われながらも、やはり好みの分かれる「走り屋」風のカスタマイズが、ネット上とはいえ一流オークションに集うようなオリジナル志向のバイヤーにはイマイチと映ったのだろうか。

 あるいは、12万6000kmを超える走行距離が評価を落としたことなど、様々な要因が考えられるだろう。

●アキュラNSX(1991年)

約470万円で落札された1991年型アキュラNSX(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
約470万円で落札された1991年型アキュラNSX(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 しかし、オリジナリティの面では申し分のない1991年型アキュラNSX(ホンダNSX輸出バージョン)が、ここ数年の海外マーケット相場価格と比べたら若干低いといわざるを得ない4万4000ドル(約470万円)で落札された。

 加えて日本仕様の純然たる「JDM」で、ほぼ完ぺきなオリジナル車で、走行距離も9154kmというローマイレージであり、北米市場では最も珍重されるはずの1992年型アンフィニ「RX-7タイプR」は、5万5000ドルから7万ドル(約590万円から約748万円)というエスティメートや、オーナーの設定した最低落札価格にも届かず「No Sale」に終わってしまったことは、これまでのマーケットの推移からすればかなりシビアな結果だったと思われる。

 こうして考えると、まずはオンライン限定のオークションが、従来のリアル対面型オークションに比べると、どうしても高揚感に欠けてしまうことが、こうした理由の背景にあるように思われる。

 そして新型コロナウイルス禍による漠然とした先行き不安が、やはりクラシックカー/コレクターズカーの世界にも暗い影を落としているという事実は認めざるを得ないだろう。

●アンフィニRX7タイプR(1992年)

約590万円から約748万円というエスティメートに届かなかった1992年型アンフィニRX-7タイプR(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
約590万円から約748万円というエスティメートに届かなかった1992年型アンフィニRX-7タイプR(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 特に、この世界では比較的新興勢力である日本製クラシックカー/ヤングタイマーは、まだ国際マーケットにおける評価も充分には確定しておらず、社会情勢、あるいは世界情勢の影響を受けて相場価格が乱高下してしまうようにも感じられるのだ。

 それでも「DRIVING INTO SUMMER」の2週間後に、同じRMサザビーズのヨーロッパ支社が開催したオンライン限定オークション「THE EUROPEAN SALE featuring THE PETITJEAN COLLECTION」では、ランボルギーニやポルシェたちがコロナ禍以前と大きくは変わらない高値で落札されたことを思えば、日本製クラシックカー/ヤングタイマーたちが人気を取り戻す可能性も否定できない。

 今後の国際マーケットの動向に、注目していきたいところである。

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