「ストラトス」に「ダットサン240Z」、超絶カッコいいラリーカー3選
1970年代のラリーカーは、心底カッコよかった!!
2017年に現代版アルピーヌ「A110」が復活したのを契機に、再び脚光を浴びるようになった元祖アルピーヌ・ルノー「A110」は、1956年に南仏ディエップにてジャン・レドレが創業したアルピーヌにおける第3世代に当たるモデルである。
自社製バックボーンフレームに、ルノーの革新的RR小型セダン「8(通称R8)」のコンポーネンツを組み合わせ、1962年秋のパリ・サロンにてデビューした。
●アルピーヌ・ルノーA110
アルピーヌ・ルノーA110に大成功をもたらしたのは、当時の欧州自動車界ではカリスマとして知られたエンジン・チューニングの大家、「ル・ソルシェ(魔術師)」と呼ばれたアメデ・ゴルディーニだ。1965年に追加されたA110の高性能版に「R8ゴルディーニ」用1108cc・95psユニットが搭載されたことから、のちの緊密な協力関係がスタートする。
そして、もともと長距離ロードレース用GTから発展したA110が、ラリーマシンとして非凡な資質を持っていることに気付いていたレドレとゴルディーニ、さらにルノー首脳陣も交えて、このクルマをさらに進化させることを決定。
排気量を拡大した「1300S」は、1968年にはフランス国内選手権でタイトルを獲得。また同年にはモンテカルロやトゥール・ド・コルスなどの国際ラリーにも参戦し、当時の世界最強ラリーカー、ポルシェ「911」などの強豪を敵に回しながらも一定の成果を挙げた。
さらに、1300Sの好成績で「打倒ポルシェ」の可能性を確信したアルピーヌは、1970年から最終兵器「1600S」をラリーに投入することになる。その目論みは見事効を奏し、4気筒OHV1600cc(エボリューション版は1800cc)ながら、コンパクトかつ軽い車体の効力で、遥かに排気量の大きな911に匹敵する速さと、意外な耐久性を身につけていた。
かくしてアルピーヌ・ルノーA110は、1971年には現在のWRC(世界ラリー選手権)の前身にあたるERC(欧州ラリー選手権)、1973年にはWRCタイトルも獲得。とくに両シーズンの「モンテカルロ・ラリー」では、雪中の激戦を制して1-2-3フィニッシュを飾ったことが、今なおラリーファンの間では語り草となっているという。
●ダットサン240Z(日産フェアレディ240Z)
日本のスポーツカー史上でも屈指の名作、初代S30系「フェアレディZ」は、海外マーケット向けには2400ccエンジンを搭載して「ダットサン240Z」の名で販売。なかでもアメリカ市場では、爆発的な大ヒット作となった。
もともと長大な直列6気筒SOHCエンジンを搭載したFR車であるS30系フェアレディZ/ダットサン240Zは、快適かつ高性能なグランドツーリングカーとしての資質を追求したモデルである。
この時代のラリーで猛威を奮ったポルシェ911やアルピーヌA110などと比べると、軽さやトラクション性能では太刀打ちできるはずもなく、アジリティを要求されるラリー競技には不向きとも思われよう。
ところが240Z最大の武器は、耐久性や信頼性の高さにあったようだ。日産「510型ブルーバード」の時代から得意としていたヘビーデューティ志向のイベント、アフリカ・ケニアとその周辺を舞台とする「東アフリカ・サファリラリー」では、日産ワークス・ダットサン240Zが1971年と1973年に2度の総合優勝を飾っている。
しかし、サファリでの大戦果以上に日本人ファンを驚かせたのは、ラウノ・アルトーネン/ジャン・トッド組の搭乗するワークス240Zが、1972年の「モンテカルロ・ラリー」で3位入賞を果たしたことだろう。高度成長期にあったわが国のカーマニアたちは、世界に冠たる高性能スポーツカーたちと、大舞台で堂々渡り合った日本車の登場に歓喜したのだ。
この年、2018年の「ラリー・モンテカルロ・ヒストリーク」で筆者が随行させていただいたエントラント「伊香保おもちゃと人形 自動車博物館」横田正弘館長も、少年時代にモンテ240Zに憧れたひとり。彼は地元群馬の日産ディーラーに凱旋展示されたモンテカルロ・ラリー3位入賞車両を見て、いつか自分もフェアレディZに乗りたいという夢を抱いたという。
のちにその夢は、自ら240Zでモンテカルロ・ラリーを走りたいという壮大なものへと昇華。内外装をほぼ完璧な1972年モンテ仕様に仕立てた240Zとともに「ラリー・モンテカルロ・ヒストリーク」への正式エントリーを果たしたのである。
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