ダイハツ新型「タフト」は若者人気が爆発!? 先行する「ハスラー」との違いとは
新型「タフト」と「ハスラー」 大きく異なるのはどのようなポイント?
ハスラーと新型タフト、もっとも大きな違いはオフロード走行に対する考え方だと感じます。
むろん、軽クロスオーバーが走るオフロードとは、本格四駆のイメージではなく、未舗装で小さなわだちがある林道や雪道などのイメージです。そのうえで、話を進めます。
ハスラーの販売実績では、FFが約7割、4WDが約3割です。一般的に軽の4WDは、いわゆる降雪地域での生活四駆の需要が主体なので、ハスラーの4WD比率の高さはアウトドア志向の証明だといえます。
この法則、果たして新型タフトに当てはまるでしょうか。
筆者(桃田健史)の予測は、新型タフトの4WD比率はハスラーほど高くならない可能性があると思います。なぜならば、新型タフトはアウトドアイメージを優先するファッションアイテム、という商品性が優先しているからです。
4WDシステムについては、ハスラーの場合は「スペーシア」など、また新型タフトでは「タント」など、先行販売車と基本的に同じであると、スズキ、ダイハツそれぞれから回答を得ました。
オフロード走行への対応としては、両メーカーともサスペンションの作動量全体は先行販売車と同じで、大径タイヤ採用などで最低地上高を稼いでいます。
具体的には、ハスラーの場合、タイヤで約10mm、ぱね長および、伸び・縮みそれぞれ調整で約20mm、合計約30mm増で最低地上高180mmとなります。さらに、ボディ形状で、アプローチアングル29度と、デパ―チャーアングル50度を確保しました。
そのうえで、ハスラーは初代から、急な坂道で車速をコントールするヒルディセントコントロールや、ぬかるみなどで発進をサポートするグリップコントロールの切り替えスイッチを装備。
ユーザーからは「キャンプ場や野外フェスで活用している」と好評だったことを受け、2代目ハスラーでは雪道やアイスバーンで発進サポートするスノーモードスイッチを新設したといいます。
商品カタログでも「あらゆるシチュエーションに強い!」と、軽クロスオーバーとしての4WD性能の高さを強調しています。
一方の新型タフトは、ぬかるみでのグリップサポートシステムが状況によって自動的に作動。ただし、最低地上高でハスラーを10mm上回る190mmとしているものの、ヒルディセントコントロールなどの切り替えスイッチはありません。
その代わり、FFを含めて電動パーキングブレーキと、渋滞時や信号待ちで便利なオートブレーキホールド機構の採用など、街乗りでの利便性を重視しています。
なお、ホームページの動画では「タフトなら、どこへでも行ける気がする」と謳っていますが、広報資料には、「オフロード走行を推奨するわけではございません。やむを得ずオフロード走行する際は、十分運転に注意してください」との但し書きがあります。
こうした商品性の違いにより、ユーザー層も違いが出る可能性があります。
ハスラーのユーザー層は、初代では男女とも40代が中心で、幅広い年齢層。こうした流れは2代目でも継承されていて、導入初期段階では40代から50代が多くなっています。
一方、新型タフトについて、現時点で詳細データはありませんが、スカイフィールトップに代表される商品性から、ハスラーより若い年齢層による街乗り優先の需要が多いように感じます。
参考として、同じジャンルで競合車とユーザー年齢層が違うケースとして、小型ミニバンでは、ホンダ「フリード」はトヨタ「シエンタ」より約10歳若いというデータがあります。
ハスラーと新型タフト。ともに、遊び感覚、日常生活にさらなる楽しさを、気軽にアウトドアといった商品性はあるものの、メーカーからユーザーへのアプローチに違いが見られ、その結果としてユーザーの商品に対する見方も変わるかもしれません。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。