韓国ヒュンダイが乗用車で日本再進出を示唆!? 現代ジャパンが公式Twitter開設 なぜ今なのか
2020年6月15日、ヒュンダイ・ジャパンが公式Twitterアカウントを開設したことが明らかになりました。2009年に撤退して以降、日本市場では乗用車の正規販売をおこなっていなかったヒュンダイですが、その一方で世界の多くの市場で販売台数を伸ばしており、日本再進出もささやかれていました。果たして、公式Twitterアカウントの開設は、日本市場再進出の布石なのでしょうか。
ヒュンダイが描く、日本市場再進出のシナリオは?
2020年6月15日、ヒュンダイ・ジャパンが公式Twitterアカウントを開設したことが明らかになりました。かつて、日本市場から乗用車事業を撤退させたヒュンダイですが、日本市場へ再進出の可能性はあるのでしょうか。
約1年前の2019年4月に、同年10月から開催された「東京モーターショー2019」において、ヒュンダイが600平方メートルという大きなブースを構えると韓国メディアが報じました。
このブースの大きさは、フォルクスワーゲンやアウディ、あるいはダイハツといったブランドと同等規模です。ヒュンダイは2009年をもって日本市場における乗用車の販売から撤退しており、その後は商用車の分野で東京モーターショーへ出展することはありましたが、ブースの規模はごく小さなものでした。
これが意味するところは、まさしくヒュンダイの日本市場再進出だといえます。しかし、その後の日韓関係の悪化を懸念したためか、2019年夏頃にはその話は立ち消えとなり、東京モーターショー2019への出展もありませんでした。
それ以降、新型コロナウイルスによって世界の自動車産業は大混乱したことから、この噂話はすっかり耳にしなくなりましたが、ここにきて突然の公式Twitterアカウント開設が明らかになり、にわかにヒュンダイの日本市場再進出が現実味を帯びてきました。
実は、ヒュンダイは新型コロナウイルスの影響が拡大する直前の2020年3月、東京ビックサイトで開催された業界向けの展示会「FC EXPO2020」に韓国自動車メーカーとしてはじめて出展しています。
その際に展示したのはFCVの「NEXO」でしたが、ここでも気になることがありました。NEXO自体は2018年に世界初公開され、主に北米市場で展開されているモデルですが、これまでは英語の読み通り日本のメディアでは「ネクソ」と発音されてきました。しかし、FC EXPO2020では「NEXO(ネッソ)」と表記されていたのです。
自動車を販売するうえで、モデル名が重要な役割を果たすことはいうまでもありません。日系自動車メーカーとヒュンダイは世界中で競合していますから、単にFCVを展示しただけであれば、日系自動車メーカーにその技術力をアピールしただけであるともいえます。
しかし、あえてカタカナで名称を表記し、日本人にとってより聞こえのよい名称へと”チューニング”されていることを見ると、これもまた、日本市場再進出が示唆されているといえるのではないでしょうか。
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では、ヒュンダイにとって日本市場へ再進出するメリットはあるのでしょうか。
日本は中国、米国に次ぐ世界第3位の新車販売市場ですが、日系自動車メーカーが大きなシェアを占めており、1割強の輸入車市場も欧州車がほとんど独占しているうえに、中国や東南アジア諸国のような新興市場と異なり、今後急成長を見込みづらい成熟した市場です。
ヒュンダイのコンパクトカーは、2010年代以降そのデザイン性やコストパフォーマンスの良さから、北米や欧州では日本車と競合していますが、日本では輸送コストなどの問題から同条件で勝負することは難しいでしょう。また「近くて遠い国」といわれるゆえんでもある、政治的な問題もあります。
すでに一度撤退していることからも明らかな通り、ここまで見るとヒュンダイが日本市場へ再進出する可能性は薄いように思います。しかし、一点だけそれを可能にするシナリオがあります。それが燃料電池車(FCV)です。
将来、ほとんどの自動車が化石燃料を必要としない「ゼロ・エミッション・ビークル」になると予想されており、ガソリン車と同等の航続距離をもち、長時間の充電を必要としないFCVは次世代の自動車産業を担う存在として期待されています。
トヨタやホンダがすでに実用化を果たしているように、FCVにおいては日系自動車メーカーは一歩リードしていますが、実はヒュンダイは日系自動車メーカー以外で唯一、早い段階でFCVを市販していたメーカーでもあります。
これまでヒュンダイは、前述したネッソを北米市場を中心に展開していました。FCVを使用するためには水素ステーションでの水素の充てんが必要であり、インフラが整っている必要があります。
しかし、現時点で水素ステーションが十分に整備されている国や地域はわずかであり、FCV普及のためには官民一体となって水素ステーションを拡充することが求めらています。
米国は今後急速に水素ステーションを拡充していく方針を採っており、そこにヒュンダイも照準を合わせていたようですが、昨今の原油価格低下にともないガソリン車の需要が増大していることから、最近ではトーンダウンしています。頼みの綱の北米市場でFCVが売れないとなると、せっかく開発したネッソを売る場所がありません。
一方、日本はトヨタやホンダがすでにFCVを実用化しているように、実は世界でももっともFCVを走らせるインフラが整っている国です。ヒュンダイが日本に目を向ける大きな理由はここにあると考えられます。
東京オリンピックで世界中が注目する機会を利用してヒュンダイが日本でもお馴染みのブランドで有るかの様に見せるお得意の日本を利用したアピール戦略でしょう。
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