どこなら車中泊はOK? コンビニやSA・PAの実態 過去には賠償金にまで発展

最近は、車中泊ブームによって自動車メーカーなどが専用装備やアイテムを充実させています。一方で、車中泊ユーザーの増加とともに、さまざまな場所でトラブルも発生してるようです。では、実際にどのような場所であれば車中泊は可能なのでしょうか。

人気の車中泊でも…コンビニはアリ? ナシ?

 近年のアウトドアや車中泊ブームの影響により、コンビニの駐車場で「車中泊」をするユーザーが増加しているといいます。しかし、車中泊は数時間に渡って滞在するため、店側とトラブルになることも考えられますが、その実態はどうなっているのでしょうか。

明確に「車中泊OK」と明記されている以外の場所では車中泊は控えた方が良い
明確に「車中泊OK」と明記されている以外の場所では車中泊は控えた方が良い

 車中泊をはじめとする長時間利用は、コンビニ側に迷惑がかかり、警察に通報される可能性もゼロではありません。

 店舗によっては、長時間利用の対策として、「〇〇時間以上の駐車はご遠慮願いします」、「無断駐車は、○○円の罰金をいただきます」、といった看板を掲げているケースも多くありますが、コンビニ側が設置する看板の有効性や無断で車中泊した際には罰則があるのでしょうか。

 まず、コンビニ側に罰金を徴収する権利はありません。罰金は刑事事件における刑罰として科せられるほか、コンビニの駐車場は私有地であり、警察の介入が難しいことから、トラブルの際は民事事件として扱われます。

 車中泊による長時間利用も同様で、私有地は道路して扱うことが難しく、道路交通法での取り締まりは難しいようです。

 ただし、過去の判例ではフェンスなどがなく、不特定多数の人が出入りする場所であったため、コンビニの駐車場が「道路」とみなされた事例もあります。

 道路交通法では、社会理念上で道路と呼ぶにふさわしくない場所でも、「多数のクルマや人が通行している事実」が認められれば、危険の防止や交通安全の理由から法規制を求める必要があると定義され、一般交通として客観的に識別できる場合は、道路として扱われることがあります。

 しかし、道路交通法第四十五条二項によると、道路とみなさたうえでも「駐車場入り口3メートル以内にクルマが停められている」といった特殊な条件が揃っていないといけません。

 つまり、道交法の取り締まりによる「罰金」が適用されるケースは、非常に稀であるといえます。

 一方、民事としての扱いであれば、「損害賠償」が適用される可能性が高いです。民法709条には、以下のように記載されています。

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(財産以外の損害の賠償)」

 そもそも、コンビニの駐車場は買い物を目的とした短時間利用が大前提です。そのため、コンビニの駐車場での車中泊は、他人が所有する土地を占拠して損害を与える不法行為とみなされるため、店側は賠償金を請求することができるのです。

 実際に、2018年には大阪府茨木市内のコンビニで、駐車場を約1年半にわたって車庫代わりに利用していた男性に対し、約920万円の賠償金の支払いが命じられた事例がありました。

 男性はコンビニを利用する様子もなく、店側による再三の注意にも応じなかったため、このような多額の賠償金を請求される結果となったようです。

 賠償金の算出方法については、一般的には、近隣にある有料駐車場の料金をもとに裁判所が決定します。

 上記の事例のでは、約1万1000時間以上に及ぶ不法駐車を1日あたり700円と換算し、弁護士費用なども合わせて算出された結果、920万円に及ぶ高額な賠償金となりました。

 コンビニ駐車場の長時間利用によるトラブルは多発しており、店側が裁判所に申し立てをすれば賠償金を支払う義務も発生します。

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