50年以上のロングライフはスゴい! 激動の時代を駆け抜けた名車3選
唯一無二の存在である軽自動車とは!?
●スズキ「ジムニー」
初代スズキ「ジムニー」は、1970年4月に軽自動車初の本格的4輪駆動車としてデビューしました。
ラダーフレームに車体を載せ、同社の軽トラック「キャリイ」のものを基本としたエンジンを搭載。エンジンは空冷2サイクル360cc2気筒で、最高出力はわずか25馬力でしたがトルクフルな2サイクルエンジンの特徴と、車重600kgの軽量な車体を活かし、街中や山道では十分なパワーでした。
サスペンションは前後リーフスプリングのリジッドアクスルを採用。乗り心地よりも信頼性と耐久性を重視した作りとなっていました。
トランスミッションは4速MTのみで、トランスファーを介して前後輪を駆動し、16インチと大径のラグタイヤ(悪路用タイヤ)により高い悪路走破性を実現。
そのため、土木や建設の測量、林業のパトロール、山間地の商品運搬など、さまざまな状況下で「プロの道具」として高い評価を得るとともに、手軽にアウトドアを楽しめる4WDとして、一般ユーザーにも好評を博しました。
1976年に軽自動車規格が変更に伴い排気量が550ccにアップされ、1981年に登場した2代目では4サイクルエンジン化とターボエンジンを採用し、1990年には排気量660ccとなりますが、基本的な機構やレイアウトは初代を継承しています。
そして、2018年に発売された4代目ジムニーは、20年ぶりとなるフルモデルチェンジとなったことで、新型を待ち望んでいたユーザーから絶賛され、発売直後から納車1年待ちとなるほどの人気を獲得。
外観は初代をオマージュしたようなスクエアボディと丸型のヘッドライトやウインカー、5スロットグリルなど、ひと目でジムニーとわかるデザインになっています。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1725mmで、サスペンションは前後ともコイルスプリングのリジッドアクスルです。
搭載されるエンジンは64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボで、インテークバルブ側に可変バルブタイミングを採用して、低回転から力強いトルクを発生。オフロードでの優れた走行性能も実現すると同時に、WLTCモード16.2km/L(5速MT)と、良好な燃費も両立しています。
トランスファーは3代目後期型がボタン操作で2WDと4WDを切り替えていましたが、新型ではレバーでの切り替え方式に戻り、サスペンション形式も前後リジッドアクスルを継承。
また、滑りやすい路面で駆動力を確保する「ブレーキLSDトラクションコントロール」や、坂道発進時に車体の後退を抑える「ヒルホールドコントロール」、急な下り坂などでブレーキを自動制御する「ヒルディセントコントロール」を装備していますが、アシストは必要最低限に留まり、悪路走行はドライバーの腕次第というジムニーらしさは受け継がれています。
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国産車ではほかにもトヨタ「クラウン」や三菱「デリカ」、日産「フェアレディZ」など、50年以上も販売されているクルマが数多く存在します。
一方で、一代限りで消えてしまった短命なクルマや、長い歴史がありながらも生産が終わったクルマもあり、マーケットの動向や経済の状況によって運命が左右されるということです。
どのクルマも販売目標を設定していますが、必ずしも達成できるとは限らず、いかに新型車開発の難しいかがうかがえます。