50年以上のロングライフはスゴい! 激動の時代を駆け抜けた名車3選
毎年、数多くの新型車が誕生する影で、消えていってしまうクルマがあります。一方で、半世紀以上も途切れることなく販売されているクルマも存在。そこで、昭和に誕生し、平成、令和と生き抜いてきたモデル3車種をピックアップして紹介します。
半世紀にわたって販売されているクルマを振り返る
日本において本格的な自動車製造が始まったのは大正時代といわれ、今日まで100年以上もの歴史を刻んできました。
これまで、膨大な数のクルマが誕生しましたが、消えていったクルマも同じく膨大な数におよびます。
一方で、50年以上も継続して販売されているクルマも存在。そこで、昭和に誕生し、平成、令和と生き抜いてきたロングセラーなモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイライン」
1957年、プリンスの前進である富士精密工業は、当時の小型乗用車規格に合わせた1.5リッター直列4気筒OHVエンジンを搭載した4ドアセダン、プリンス「スカイライン」を発売しました。
まだクルマが一般家庭に普及してはいなかった時代だったため、当時の憧れだったアメリカ車のトレンドであるボリューム感あふれるデザインが織り込まれていました。
そして、プリンスと日産が合併し、1968年に3代目となるスカイラインを発売。1969年にはレースで勝つことを目的に開発された初代「スカイライン GT-R」が登場するなど、高性能なセダン、クーペというイメージを確立します。
この後、オイルショックや排出ガス規制の強化からパワフルさを失ってしまいましたが、1977年に発売された5代目ではシリーズ初のターボエンジンを搭載。メーカー間のパワー競争に参戦することで、高性能化が始まりました。
1989年に登場した8代目では、16年ぶりにスカイラインGT-Rが復活。280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジンに、FRを基本とするフルタイム4WDシステムを搭載し、かつてと同様にレースで勝つことを目的に開発されました。
スカイラインGT-Rは2002年に生産を終えましたが、そのコンセプトは現在の「GT-R」へと受け継がれています。
現行モデルのスカイラインは2014年に発売された13代目です。日産の高級車ブランド「インフィニティ」のプロダクト開発で得た技術やデザインが反映された4ドアセダンで、シリーズ初のハイブリッドモデルも設定されました。
2019年7月におこなわれたマイナーチェンジでは、高速道路の同一車線で手放し走行が可能な先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」をハイブリッドモデル全グレードに標準装備。
パワーユニットは3.5リッターV型6気筒エンジン+モーターで、低燃費を実現しつつもシステム最高出力364馬力とパワフルです。
また、ガソリン車では304馬力を発揮する3リッターV型6気筒ターボと、スカイライン史上もっとも高性能な405馬力を誇る「400R」がラインナップされました。
ほかにも、ハンドルの動きを電子制御ユニットで電気信号に置き換え、アクチュエーターによってタイヤを操舵する、バイ・ワイヤー式の「ダイレクトアダプティブステアリング」など、最先端の技術が詰め込まれたクルマとなっています。
●トヨタ「カローラ」
1966年に登場した初代カローラは、日本の高速道路網の伸長に合わせた高速性能を持った小型大衆車です。
大衆車とはいえ、まだまだクルマが高嶺の花だった時代に、少しだけ高級なものを求めるユーザーの意識を上手く捉え、商業的に成功しました。
ボディサイズは全長3845mm×全幅1485mm×全高1380mmと、現在のクルマに比べ非常にコンパクトで、搭載された1.1リッター直列4気筒OHVエンジンは「プラス100ccの余裕」のキャッチコピーのとおり、軽やかな走りを実現。
その後、カローラは国内の登録車販売台数トップをキープし続け、1987年に発売された6代目では、高性能モデルの「レビン」も含め全車FF化する大きな節目を迎えます。
この6代目はバブル景気という後押しもあり、1990年には車名別年間新車販売台数で30万8台を記録。これは、2010年に「プリウス」に抜かれるまで歴代最多でした。
そして、現行モデルのカローラは12代目にあたり、2019年9月に発売。シリーズ初の3ナンバーサイズになったことで大いに話題となりました。
ボディバリエーションはセダンとステーションワゴンの「カローラ ツーリング」をラインナップし、サイズは全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm(セダン)と、ワイド&ローで流麗なフォルムが印象的です。
パワーユニットは1.8リッターのハイブリッドとガソリンエンジン、1.2リッターターボエンジンの3種類で、1.2リッターモデルはスポーティグレードに位置づけられ、6速MTのみの設定です。
足まわりは、フロントがストラット、リアがダブルウィッシュボーンを採用し、優れた路面追従性と乗り心地を両立。
また、先進予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の全車標準装備や、インテリジェントクリアランスソナーの採用など、高速道路から街中、パーキングまで、さまざまなドライブシーンで高度な安全性能を発揮します。
12代目で大きく進化したカローラは、まだまだ日本を代表する大衆車として君臨し続けるでしょう。