まるくなったのはいつ頃から? クルマのハンドルには壮大な歴史があった

クルマのハンドルは、自動車が登場した黎明期から長い間、その形が変わらないものとして思われがちだが、じつは最初のクルマにはハンドル自体が存在していなかったという。その歴史を見てみよう。

1894年7月におこなわれた世界初の自動車レースではじめて登場

 独メルセデス・ベンツは、改良新型Eクラスに搭載された「静電容量式ハンドル」にともない、自動車ハンドルの歴史についてリリースを発表した。この内容を見ていこう。

1902年に発売されたメルセデス「シンプレックス」には、すでにまるいハンドルが付いている。ハンドルにはレバーが追加されていて、点火タイミングや空燃比などエンジン制御が可能だった
1902年に発売されたメルセデス「シンプレックス」には、すでにまるいハンドルが付いている。ハンドルにはレバーが追加されていて、点火タイミングや空燃比などエンジン制御が可能だった

 1886年にカール・ベンツが特許を取得した世界初の3輪のガソリン自動車「ベンツ・パテント・モートルヴァーゲン」や、1889年にゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハが設計した4輪車「ワイヤー・ホイール・カー」には、ハンドルがついていない。復元された自動車創世記のそれらのモデルを見てみると、それがわかる。

 当時、馬車の運転手は左右の手綱を引っ張り、馬を目的の方向に導くことに慣れていたため、それらには向きを変えるクランクや棒状のレバーしかついていないのだという。

 最初のステアリングホイール(ハンドル)は、1894年に開催された自動車レースで登場した。

 フランスのエンジニア、アルフレッド・ヴァシュロンが、ハンドルの発明者といわれている。1894年7月、パリからルーアンまで走行する世界初の自動車レース「パリ・ルーアン・トライアル」のために、ヴァシュロンはダイムラーエンジンを搭載した「パンハード&レヴアッソール」に、通常のレバーの代わりにハンドルを取り付けた。

 これにより、正確なステアリング操作が可能となり、より高速での走行ができるようになった。そのレースではヴァシュロンは11位にとどまったが、それからハンドルが自動車に搭載されていくきっかけとなった。

 1900年にはダイムラー・モーター社のレーシングカー「フェニックス」にもハンドルが装備された。ステアリングコラムが傾いていたため格段に操作が楽になったが、それでもステアリング操作には大きな力が必要だったという。1902年に導入されたメルセデス「シンプレックス」では、ハンドルにレバーが追加されていて、点火タイミングや空燃比などエンジン制御が可能となっていた。

 1920年代には、ハンドルにホーンが追加されている。最初はハンドルのリムに付けられたバルブホーンから始まり、のちにハンドルのハブにあるクラクション・ホーンボタンが取り付けられた。ハンドルスポークに取り付けられたホーンリングは、すでに1920年代に登場している。

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