強制的に速度が出せない車を検討中!? 高齢者事故対策に有効? 速度抑制装置に現実味

「速度抑制装置」搭載車は高齢ドライバーの事故防止に必要か?

 今回の道路交通法改正では、高齢ドライバーに対して、使用するクルマの条件を限定する、いわゆる限定免許の実施についても可能としています。

 第一ステップとしては、サポカー限定免許が採用されることになりますが、最高速度を抑制するサポカーでの限定免許についても、今後さらなる議論がおこなわれることになりそうです。

プリウスにも後付けで踏み間違え防止システムがつけることができる
プリウスにも後付けで踏み間違え防止システムがつけることができる

 速度抑制機能の量産化については、高齢ドライバーだけにとどまらない可能性もあると思います。

 たとえば、2020年5月に東京大田区の一般道路で30代女性が運転する高級輸入車が暴走し、歩行者を巻き込む重大事故が記憶に新しいところです。

 三重県では2018年12月、一般道路を時速146kmで暴走し、被害者4人が死亡する痛ましい事故も発生しています。

 現在、自動車メーカー各社は、日本や一部に速度無制限走行区域があるドイツのアウトバーンなど、国や地域の状況に応じて最高速度を抑制する速度抑制装置(スピードリミッター)を作動する仕組みを取り入れています。

 日本の場合、業界団体などでは登録車で時速180km、軽自動車で時速140kmという目安を提示していますが、あくまでもメーカーによる自主規制です。

 実際、日本では東京湾アクアラインなど直線路が長い高速道路などで、国産車や輸入車を問わず、制限速度を大きく超えて走行するクルマに遭遇することがあります。

 1990年代までは、日本車で最高時速180kmを超えるクルマは、一部のハイパフォーマンスカーに限られていましたが、2000年代以降はコンパクトカーでも基本性能として時速200kmまで出せるようなクルマも珍しくなくなりました。

 これまで、クルマの走行速度については、法定速度と実際の交通の流れに沿った速度である実勢速度という考え方での議論がありました。

 日本では今後、免許保有者の高齢化がさらに進むことは現時点での免許保有者の年齢構成からみて確実であるなか、高齢ドライバーの限定免許の在り方を踏まえて、高齢者以外のドライバーに対する速度抑制装置の議論も必要になってくるのではないでしょうか。

 将来的には、コネクテッドカー技術を使い、道路側と車載器が通信することで、法定速度を遵守する時代がやってくるかもしれません。

 ハイパフォーマンスカーが楽しめるのは、サーキットだけになってしまう可能性もあるのです。

 しかし、クルマを操る楽しみなど、個人の自由。そして、広い意味では製造者としての表現の自由にも関連する問題であり、慎重かつ深く考えるべき課題だと思います。

【画像】改正道路交通法であおり運転の罰則や高齢ドライバーの事故防止策が強化(13枚)

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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