ル・マン24時間レースで最多19回の総合優勝! ポルシェの輝かしい歴史とは

ドイツ・シュツットガルトにあるポルシェミュージアムでは、2020年6月13・14日の週末、1970年6月14日にポルシェがル・マン24時間耐久レースで初の総合優勝を達成したオリジナルのマシン「917KH」を展示する。

ル・マンでのクラス優勝は108回、総合優勝19回

 ドイツ・シュツットガルトにあるポルシェミュージアムでは、2020年6月13・14日の週末、1970年6月14日にポルシェがル・マン24時間耐久レースで初の総合優勝を達成したオリジナルのマシン「917KH」を展示する。

1970年ル・マンでポルシェとして初優勝を飾った「917KH」23号車
1970年ル・マンでポルシェとして初優勝を飾った「917KH」23号車

 コロナ禍により、当初予定されていた6月13日から14日の開催を、2020年大会は9月19日から20日に延期されたのが、フランス・サルトサーキットで開催される「ル・マン24時間レース」だ。

 2018年、2019年と、トヨタ「TS050ハイブリッド」が総合優勝。2020年もトヨタ3連覇の期待がかかるだけに、日本でも注目が集まっている耐久レースだ。

 2000年代に入ってからはアウディが圧倒的な強さを見せ、2000年から2019年までの20大会で13回もの総合優勝をしているが、それでも1923年からの長い歴史を見ると、メーカー別でアウディは2番目になる。総合優勝がもっとも多いメーカーは、19回のポルシェになる。

 ポルシェがル・マンに初挑戦したのは1951年。「356SL」でクラス優勝を果たして以来、小排気量クラスで活躍していたが、1950年代後半に戦略を変更、総合優勝を目標に立てて参戦した。

 1969年にはフォード「GT40」と激戦を繰り広げ、史上もっとも短い差となる、トップと75メートル差、わずか2秒差で勝利を逃した。

 そして1970年、ハンス・ヘルマン/リチャード・アトウッドがドライブする「917KH」が優勝。ヘルマンは「雨に支配されたレースだった。タイヤ交換を余儀なくされたのは摩耗のせいではなく、目まぐるしく変わる天候のせいだった。だがチームとしての調和が取れていたからこそ、勝利につながった」とコメントしている。

 ここからポルシェの快進撃が始まる。翌1971年には49台出走のうち33台がポルシェのレースカーとなり、また917KHが優勝している。

 1974年には「911カレラRSR 2.1ターボ」を発表、ル・マンにターボ時代の到来を告げ、1976年に「936スパイダー」で史上初のターボ車の勝利を記録している。1979年にはプライベーターの「935 K3」が優勝、RRの「911」ベースの量産レースカーが、ル・マンで初めて勝利をあげた。

 1981年から1987年はポルシェが無敵の時代。1982年に投入された新型「956」は、デビュー戦で表彰台を独占した。956はポルシェ初のアルミモノコックシャシと革新的なエアロダイナミクスを採用、空気抵抗を上げることなく強大なダウンフォースを実現した。その後継モデル「962C」では、デュアルクラッチトランスミッション(PDK)の開発が進められた。

 1990年代はポルシェのワークスチームとプライベーターが4回の総合優勝を果たしている。1998年には「911 GT1’98」がポルシェ初のカーボンファイバー製モノコックと初のカーボンファイバー製ブレーキを搭載してレースに参戦している。

1998年のル・マン優勝車、ポルシェ「911GT1」。アラン・マクニッシュ、ステファン・オルテッリ、ローレン・アイエロ組
1998年のル・マン優勝車、ポルシェ「911GT1」。アラン・マクニッシュ、ステファン・オルテッリ、ローレン・アイエロ組

 その後1999年から、ポルシェはプライベーターをサポートする形を取ったが、2014年に総合優勝を争うためにワークスチームがゼロから設計した「919ハイブリッド」で復帰、2015年から2017年にかけて3連覇を達成している。

※ ※ ※

 クラス優勝108回、そして総合優勝19回を達成したポルシェは、1923年からはじまった約100年のル・マンの歴史の中でもっとも成功をおさめたメーカーになっている。

 1951年以来、ポルシェのマシンが毎年ル・マンに参加しているという伝統も続いている。

 2020年6月13日から14日にかけておこなわれる「バーチャル ル・マン24時間レース」では、新たに創設された「ポルシェ・エスポート・チーム」が4台の「911RSR(2017年モデル)」で参戦するという。

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