一度消滅もなぜ復活? スズキが軽ホットハッチ「アルトワークス」を継続する理由
スズキの軽ホットハッチとして「アルトワークス」が存在します。軽量ボディで走りの楽しさを追求したアルトワークスとはどのようなモデルなのでしょうか。
“尖った軽” スズキ「アルトワークス」の魅力とは?
日本の新車市場の4割以上を占めるようになった、軽自動車。売れ筋はスーパーハイトワゴンと呼ばれる、ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」、そして日産「ルークス」などです。
車高が高く、車内スペースが広く、シートアレンジが豊富な軽スーパーハイトワゴンは、多様なライフスタイルに対応できることで、ファミリー層を中心に幅広い世代からの支持を得ています。
また、2020年6月発売のダイハツ「タフト」など、軽SUVの人気も高まり始めています。
こうした軽の主流とは一線を画す、走りを追求する軽があります。それが、スズキ「アルトワークス」です。
アルトワークスの最大の強みは軽さです。5速MT(FF)の車重は670kgと、同じく軽で走りを追求したホンダ「S660」(6速MT)と比べて160kgも軽いのです。
軽はエンジン排気量が最大660ccに規定されているため、クルマのパフォーマンスを上げるためには、車体の軽量化が最大の効果を生みます。
その上で、アルトワークスではツインカムターボエンジン(R06A型)を専用チューニングし、専用開発のショートストローク5速MTを採用。サスペンションもKYB製専用チューニングを施しています。
走りの良さをウリにしながら153万7800円(消費税込)というのは、リーズナブルな価格設定だと感じる人が多いでしょう。
アルトワークスとはどのようなクルマなのでしょうか。ベース車である「アルト」の生い立ちから振り返ってみましょう。
初代アルトが企画された1970年代は、オイルショックの影響で燃費の良い小型車への関心が世界的に高まりました。
また、日本では女性の社会進出が進み、女性でも気軽に乗れる手頃な価格のクルマへ潜在的な需要が見込まれました。
そうしたなか、自動車メーカーとして後発のスズキは、それまで商用車イメージが強かった軽自動車を乗用へと誘導するため、当時でも60万円台が常識だった軽市場において、1979年に初代アルトを40万円台で発売。84万4000台の大ヒットとなりました。
また、アルトをベースに800cc化した「アルト800」を、1983年にインド政府との共同事業で同国の国民車として発売。これが、現在のスズキの屋台骨となるインド事業の基盤となったのです。
2019年度実績では、販売総数285万2000台のうち、約5割がインドで日本は2割強にとどまります。
アルトワークスが登場したのは、2代目アルトの終盤にあたる1987年です。発売する理由は「多様化するニーズへの対応」でした。
1987年といえば、1983年に始まった東京エキサイティングカーショーが東京オートサロンに改名した年です。
アフターマーケットでの後付けターボなど、チューニングが若者の間でブームになっており、スズキとしてはまさにワークスチューニング車を提供したかたちとなりました。
ベースとなる2代目アルトは、約93万台(アルトワークス込み)の販売を記録し、初代を超えるヒット作となりました。ベース車の量産効果をフル活用して、リーズナブルな価格で尖ったモデルが企画できたのです。
こうした大衆モデルをベースとしたワークス系ハイパフォーマンスの手法としては、スバル「インプレッサWRX」や、三菱「ランサーエボリューション」にも通じるところがあります。
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