「ローラースケートGT」と呼ばれたスポーツコンパクト ホンダ「バラードスポーツCR-X」を振り返る

1.6リッターDOHCエンジンを搭載して速さで話題に

 バラードスポーツCR-Xに搭載されたエンジンは1.3リッターと1.5リッターで、1気筒あたり吸気バルブ2個、排気バルブ1個をセットした新開発の直列4気筒SOHCです。

 軽量なアルミ製シリンダーブロックやクランクシャフト直結トロコイドオイルポンプ、カムダイレクト駆動ディストリビューターなどの新技術で、小型軽量化が図られていました。

「バラードスポーツCR-X」は軽量コンパクトな車体で高い運動性能を発揮
「バラードスポーツCR-X」は軽量コンパクトな車体で高い運動性能を発揮

 1.5リッターエンジンを搭載する「1.5i」では、PGM-FI(電子制御燃料噴射)と排気脈動を利用した4-2-1-2の集合排気システムを採用し、最高出力110馬力(グロス)を発揮。

 1.3リッターエンジンは最高出力80馬力とスペックは控えめながらも、より軽量な車体と相まって20.0km/L(10モード燃費、5速MT車)の低燃費を実現していました。

 組み合わされたトランスミッションは5速MTと、1.5iでは高効率トルクコンバーターを採用したロックアップ機構付ホンダマチックの3速ATを設定。

 そして、1984年にはF1レースで培かったホンダ独自の技術をもとに開発した、最高出力135馬力の1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載する「バラードスポーツCR-X Si」を追加ラインナップ。

 前輪にパワーを均一に伝えることで、発進時やコーナリング時の安定性をさらに高め、スポーティな走りを可能とする新設計の等長ドライブシャフトの採用と、車量860kg(サンルーフ非装着車)の軽量な車体によって、発売されると同時に「1.6リッタークラス最速」と呼ばれたほどです。

 また、バラードスポーツCR-Xのサスペンションは、フロントが操縦性と回頭性を両立するトーションバースプリングのストラット式、リアには路面追従性に優れたトレーリングリンクビーム式を採用し、優れたコーナリング性能と共にスペース効率を向上。

 リアシートはミニマムでシビックほどの実用性はありませんでしたが、シビックと人気を二分するほどでした。

 バラードスポーツCR-Xは、低い重心とコンパクトで軽量なボディを武器に、ワインディングロードでは1クラス上の性能を発揮しましたが、クイックな回頭性をもたらす2200mmのショートホイールベースと、リアの軽さが災いし、時として「じゃじゃ馬」な面もあり、それも含めて魅力的な走りを披露。

 なお、アメリカでは「シビック CR-X」の名で販売され、「ローラースケートGT」と呼ばれて人気となりました。

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Writer: くるまのニュース編集部

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