完成検査問題の影響あり? 2019年度のリコール届出数を公表 過去最高台数に
国土交通省は、2020年4月17日に「2019年度におけるリコール総届出件数及び総対象台数」を発表しました。2019年度はどのような状況だったのでしょうか。
そもそも「リコール」ってなに?
ニュースなどで耳にするクルマのリコール。報道内容によっては、『リコール=悪い』というイメージを持つ人もいます。本来のリコールは、事故やトラブルを未然に防止するものです。
そんなリコールですが、2019年度の状況はどうだったのでしょうか。
リコール制度とは、車両の設計や製造過程に問題が生じた際に自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前の届け出るもので、自動車メーカーが回収や修理を実施し、事故やトラブルを未然に防止する制度です。
あくまでもリコール制度は、安全・環境基準に適合していない(又は適合しなくなるおそれがある)車両について改善策を実施するもので、自動車メーカーからの届出を受けた国土交通省は、不具合情報の収集・分析、リコールへの取り組み状況の調査など状況に合わせて対応します。
なお、虚偽報告やリコール届出義務違反、リコール命令に従わない自動車メーカーには、罰則(懲役1年以下、罰金300万円以下、法人罰金2億円以下)が科せられる可能性があります。
国土交通省が2020年4月17日に発表した「2019年度におけるリコール総届出件数及び総対象台数」では、国産車の届出件数が229件(前年比-1件)、輸入車は186件(前年比+8件)でした。
届出対象台数では、国産車が988万9429台(前年比+264万5118台)、輸入車は64万5065台(前年比-32万7964台)となり、世界的な大規模リコールとなったタカタ製エアバック関係を除くと974万1698台という過去最高台数となります。
そのなかで、対象台数が多かったリコール届出として、「完成検査工程における道路運送車両の保安基準に関する不適切な検査」の201万4343台がもっとも多い結果となりました。
これは、2018年に日産やスバル、スズキなど相次いで発覚した完成検査問題による影響が大きくあります。
2019年度に完成検査問題以外で多かったリコール届出は、ダイハツ「ムーヴ」など計6車種に該当した「雨水等によりブレーキブースタに錆が発生し、制動距離が長くなるおそれ」の157万5379台。
次に、日産「ノート」で発覚した「コイルスプリングの塗装が剥がれて腐食し、折損するおそれ」の74万5372台でした。
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自分のクルマがリコール制度の対象となった場合について、国産自動車メーカー数社は次のように回答しています。
「リコール、改善対策、サービスキャンペーンを問わず、ダイレクトメールや直接訪問などの方法で、対象のお客様へご迷惑をお掛けする旨をお詫びしたうえで、販売店へご来店いただき、点検・交換等の処置を受けていただくよう、ご案内しています」
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各自動車メーカーは、ホームページ上にリコール情報を閲覧できるページを設けているほか、専用のお客様センターも併設されている場合があります。
なお、ユーザーから販売店などに提供された情報は、各社内の規定に基づいて報告要否を判断し、品質保証部門が対応する流れになっているようです。
所有する自動車が保安基準に適合するように、ユーザーにも点検や整備する義務があります。そのため、リコールや改善対策の際には、安全確保のためにもなるべく早く修理を受けることを推奨します。
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