トヨタSUVどうなる? RAV4復活で立場逆転… 王者「C-HR」が販売減の理由
2019年度(2019年4月から2020年3月)のSUVの販売ランキングは、トヨタ「RAV4」が7万1539台を販売し、SUVナンバー1となりました。新型モデル投入から1年で、RAV4が同じトヨタの「C-HR」を抜いてトップになったのは、なぜなのでしょうか。
ワイルド顔が受けた!? トヨタ「RAV4」がSUVナンバー1に
最近はSUVの人気が高く、各メーカーからさまざまなSUVモデルが登場しています。コンパクトなモデルから大型モデルまで、サイズの違いはもちろん、スタイリッシュなモデルやオフロードを強調したモデルなど、多くのスタイルが選択できるのもSUVが人気を得ている理由だといえるでしょう。
近年は、ホンダ「ヴェゼル」やトヨタ「C-HR」など、程よい大きさのクロスオーバーSUVが販売ランキングの上位を占めていました。
しかし、日本自動車販売協会連合会が発表した、2019年度(2019年4月から2020年3月)の新車販売ランキングにおいて、ヴェゼルやC-HRを抜いて、ミドルサイズSUVのトヨタ「RAV4」がSUVトップになりました。
2019年度にRAV4は7万1539台を販売。SUV2位はC-HR(4万8940台)、同3位はヴェゼル(4万8669台)で、RAV4はC-HRに2万2599台の差をつけて圧勝しました。
その一方で、2019年(1月から12月)の新車販売ランキングでは、1位がヴェゼル、2位がC-HR、3位がRAV4となっており、2019年度のSUVのトップ3の順位とはそっくり逆になっています。
とくにRAV4とC-HRは同じトヨタのSUVです。両車の差は、なぜ広がったのでしょうか。
先代RAV4は国内市場で販売の低迷を受け、2016年に販売終了しましたが、5代目となる現行RAV4は2019年4月に国内市場に復活しました。
RAV4の外観は、六角形の大型フロントグリルやシャープな形状のヘッドライトといったワイルドなデザインに変更。RAV4の人気が高かったアメリカのユーザーが好むデザインに生まれ変わり、日本でもこのワイルドな顔が受けて好調な販売を見せました。
登場初月の4月は3136台でしたが、翌月は6817台を販売。その後も順調に売れ続け、4月から12月までの1か月の平均販売台数は5996台でした。
RAV4の人気と引き換えに、C-HRの販売は徐々に低下します。RAV4が登場する直前の2019年3月は、決算期ということもあり、8952台を販売したのですが、4月から12月までの平均販売台数は4035台でした。
C-HRは2019年10月にマイナーチェンジを実施し、フロントフェイスの変更に加え、6速MT仕様やスポーティな「GRスポーツ」をラインナップに追加しました。
その効果があり、11月のC-HRの販売台数は5097台と、RAV4の4988台をわずかに上回りましたが、12月以降はRAV4の販売台数のほうが多くなりました。
前出のように、2019年1月から12月の年間販売台数でC-HRのほうがRAV4より多かったのは、RAV4の販売が4月からで、1月から3月までは販売されていなかったからです。2019年度の販売台数では、RAV4発売からちょうど1年間の販売台数が含まれるため、RAV4がSUVナンバー1になったというわけです。
RAV4の人気について、トヨタの販売店スタッフは次のようにコメントします。
「RAV4とC-HRと比べて買うお客さまもおられます。小さなボディや都会的な外観、お求めやすい価格などにこだわるお客さまはC-HRを選びます。
C-HRでは後席や荷室が狭いと不満を感じるお客さまは、価格は少し高いですが、車内に余裕のあるRAV4を購入されます。RAV4は4WDのメカニズムも充実しているので、悪路走破性でRAV4が選ばれることもあります」
スタイリッシュでスポーティさも身につけたC-HRですが、クーペスタイルであるため、後席が狭いところがデメリットとなるようです。
RAV4はSUVらしいワイルドな見た目や悪路走破性の高さなどが魅力で、ひとことでSUVといっても、両車の特徴は異なります。
RAV4とC-HRは、SUVとしての方向性は異なるものの、ユーザーとして、両車は比較する対象となります。
価格(消費税込)は、C-HRが236万7000円から309万5000円、RAV4が265万6500円から388万8500円と、エントリーグレードの差額は30万円です。
30万円の価格差を安いと見るか高いと見るかはユーザー次第ですが、比較対象に十分なり得るといえるでしょう。
※ ※ ※
C-HRを脅かす存在はRAV4だけではありません。急速に販売を伸ばしているのが、2019年11月に発売されたトヨタの新型SUV「ライズ」です。
ライズはRAV4に似たワイルドなデザインで4mを切る小さなモデルですが、SUVのユーザーが不満に感じていた後席と荷室が狭いという点を解消しました。
コンパクトながら広い室内空間と荷室が特徴で、コンパクトカーからの乗り換えはもちろん、ミニバンユーザーがダウンサイジングするときに選ばれることが多くなっています。
そのためライズは販売が好調で、2019年度は4万8809台を販売。C-HRは4万8940台だったので、その差はわずか131台にまで迫っています。
しかもライズは、5か月間で4万8809台の販売を達成しているのです。ライズは、C-HRだけでなく、SUVナンバー1だったRAV4も凌駕する可能性があるといえるのではないでしょうか。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。