トヨタ「ハイエース」の広さはなぜ「尺」表記? 古い単位をあえて使う理由とは

トヨタ「ハイエース」や日産「キャラバン」といった商用バンでは、広さを表す表記として「尺」がいまだに使われていることがあります。尺という古い単位は一般ユーザーにはあまりなじみがありませんが、なぜ尺がいまだに使われているのでしょうか。

1尺は何ミリ? 古い単位をあえてつかう理由とは

 トヨタ「ハイエース」などの商用バンでは、荷室の広さを表す表記としてミリ以外に「尺」という単位が併記されていることがあります。尺という単位は、一般ユーザーは普段あまり見かけません。

 なぜ、日常生活であまり用いられない尺という単位が、ミリという単位に加えて記載されているのでしょうか。

トヨタ「ハイエース」の荷室表記はなぜ「尺」が使われる?
トヨタ「ハイエース」の荷室表記はなぜ「尺」が使われる?

 そもそも、尺とはどのような長さの単位なのでしょうか。

 尺とは、尺貫法における長さの単位で、東アジア地域にて広く用いられています。日本では大宝元年(701年)より、尺が導入されたといわれています。

 尺の導入後は、日本各地でさまざまな種類の尺が誕生し、尺の種類によって表す長さも異なりましたが、現在では1尺で約303mmの長さを表します。しかし、1951年の計量法(旧計量法)によって、尺貫法を取引や証明の用途で使うことが禁止されました。

 しかし、ハイエースなど商用バンのカタログでは、依然として尺という単位が併記されています。

「ハイエースバン」のスーパーGLの荷室長は約9.9尺(3000mm、カタログ上は約9尺と表記)、リアシート通常時荷室長は約6.1尺(1855mm、カタログ上は約6尺と表記)、荷室高は約4.4尺(1320mm、カタログ上は約4尺と表記)、荷室幅は約5尺(1520mm)です。

 なぜ、尺がクルマのカタログに使われているのでしょうか。ハイエースなどの商用バンを販売している営業マンは、次のように話します。

「日本には、尺貫法の時代のサイズで作っている商品がまだまだあります。畳やコンパネなどがその一例です。

 ハイエースなどの商用バンの場合、建設現場など、こうした商品を運ぶ場面で使用されることも多く、お客さまが積める量を計算しやすくなるように、尺という単位もミリと併用してカタログに記載しています」

 不動産で使われる「坪」も尺貫法に関係する単位のひとつですので、現在の暮らしのなかにもしっかり息づいていることがわかります。尺という単位ひとつの工夫ですが、建設現場で働く人など、商用車ユーザーの気持ちを考えられた対応といえそうです。

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