自動でウイーン… なぜ電動ミラー普及した? ドアミラーの進化が止まらないワケ
フェンダーからドア、そしてカメラ化へ…
フェンダーミラーやドアミラーなどの後方確認用のミラーは、クルマにとって必要な装備です。しかし、クルマの歴史を見てみると、当初は無くてはならない装備ではなかったことが伺えます。
例えば、1948年に発売されたジャガー「XK120」にはサイドミラーが付いていません。1952年に発売のベントレー「Rタイプコンチネンタル」にもサイドミラーは付いていませんでした。
その後、英国の例では、1950年代にフェンダーミラー、1960年代にドアミラーが登場し、車種によっては左右どちらか片方だけに付いている場合もあります。
日本以外の国では、スタイリングを邪魔するフェンダーミラーではなくドアミラーが好まれ、世界的にはドアミラーのシェアが圧倒的に多かったとされています。
日本では前出の通り、法令により1983年までドアミラーは認められませんでした。しかし、日産の7代目「スカイライン」では、右(運転席側)をドアミラー、左(助手席側)をフェンダーミラーにする、「アシンメトリーミラー」というオプションがありました。
ドアミラー規制が撤廃された後、乗用車ではドアミラーが普及しましたが、タクシーやVIPなどを乗せるショーファーカーなどでは、長い間フェンダーミラーが好まれたといわれています。
その理由は、「ドアミラーでは、角度によってドライバーと後部座席に座る人の目が合いやすい」「後部座席に座る乗客や会社役員に、のぞかれているのではないかという不快感を与える」というものがあったとされています。
実際に、1997年から2017年まで販売されていた2代目のトヨタ「センチュリー」では、フェンダーミラーが採用されていました。
1984年の登場から36年を迎えた電動ミラーですが、「フェンダーミラー」が「ドアミラー」へと姿を変えたように、近い将来、電動ミラーそのものが消える可能性が出ています。
2016年に国土交通省はサイドミラーを持たない「ミラーレス車」を認めました。それに伴い、レクサス「ES」には、電動ミラーの代わりにカメラとモニターを装備する、「デジタルアウターミラー」が搭載されました。
ミラーレス車は、ドアミラーよりも小さいパーツにカメラを搭載することで死角が小さくなり、雨天時や夜間の視認性が向上、視線の移動距離が小さいというメリットが期待されています。
電動ミラーがモーターなどの小型・高性能化に伴って登場したように、電子部品や半導体の小型・高性能化が進めば、やがて電動ミラーが不要とされる時代が来るのかもしれません。
後付けのオプション装備品で自動車メーカーによっては、ドアロック解除と連動してドアミラーの開閉が行われている車も、街なかで時々見かけますね。あれは狭い駐車場事情の所が多い、日本独特の親切装備だと思う。