なぜ「開かずの踏切」は解消されない? 渋滞や事故が多発する踏切の実態とは
1000億円超! 超高額な「開かずの踏切」対策とは
国土交通省が「改良すべき踏切道」を指定できるようになったのは、2016年に改正踏切道改良促進法が施行されてからのことです。
その第1弾として、同年に全国で58か所の踏切道を指定したのを皮切りに、2019年12月の第5段までに指定数は合計1129か所に至りました。
指定された踏切道は法の規定に基づき、立体交差化や拡幅のほか、当面の対策や踏切道の周辺対策など、ソフトとハードの両面から地域の実情に応じた踏切道対策が検討・実施されることになります。
しかしながら、なかなか解消できていないというのが現実のようです。その要因として、根本的な解決策とされる立体交差化は、多額の費用と長い時間が必要になることが挙げられます。
たとえば、京浜急行線品川駅から新馬場駅までの間にある3か所の踏切を除却する連続立体交差化計画では、2020年度に着工し、完成予定は2029年と10年単位の工事期間が想定されています。
高架構造の場合は約900億円、地下構造の場合は約1700億円と目算される事業費は、すべての改良すべきは踏切道では実現できない金額です。
そこまで大がかりな工事はできないという場合は、踏切を廃止して歩道橋を架けるという案もあります。
しかし、クルマはほかの踏切や立体交差まで迂回しなければならず、歩道橋の設置には新たな用地が必要となり、なにより不便になる地域住民の理解や自治体の同意を得るのが難しいといいます。
賢い踏切とも呼ばれる「スマート踏切」への切り替えも、開かずの踏切対策のひとつです。従来型の踏切は一定の距離で検知して警報機を鳴らしますが、スマート踏切は特急か各駅停車かなど列車の種類(最寄り駅を通過するかどうか)を判別して、踏切までの到達時間をベースに警報機を鳴らすタイミングを決めることで、踏切警報時間を30秒以上短縮できたケースもあるといいます。
しかし、開かずの踏切のピーク時は、そもそも列車の往来が激しいうえに、安全のために余裕をもった時間設定がされているため、スマート踏切を導入しても効果を感じることは少ないといえそうです。
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根本的な解決が難しい開かずの踏切ですが、踏切事故を未然に防ぐために細かい対策が施されています。
クルマと歩行者のレーンを色分けするカラー舗装や歩道の拡張など地道ではあるものの、少しずつ前進している状況だといえます。
開かずの踏切もそうだけど、交差点の信号が近いとタイミングによっては踏切に入れないし、そうこうするうちに踏み切るが閉まるからなぁ。