最近はシティ派SUVばかり…バブル期に人気の硬派な国産オフロードSUVが激減した理由
SUVは人気のカテゴリで、各社からさまざまな車種が販売されています。国産車だけでも30車種以上のSUVが販売されていますが、かつて人気だったオフロードSUVは、トヨタ「ランドクルーザー」やレクサス「LX」、スズキ「ジムニー」しかありません。なぜ減ってしまったのでしょうか。
400万円超の高額オフロードSUVがバンバン売れていた時代があった!?
最近は、SUVの売れ行きが好調です。大径のタイヤを装着するなど外観に迫力があり、ボディの基本スタイルは5ドアハッチバックやワゴンに近いため、居住性や荷物の積載性も優れています。
SUVはカッコ良くて実用的なことから、人気のカテゴリになりました。
ただしすべてのSUVが好調に売れているわけではありません。乗用車のプラットフォームを使った舗装路重視のシティ派SUVは好調ですが、悪路向けのオフロードSUVはモデル数が大幅に減っています。
かつて人気だったオフロードSUVは、なぜ廃れてしまったのでしょうか。
もともとSUVは、悪路を走るためのオフロードモデルとして誕生しました。アメリカが第二次世界大戦に投入した4WD(4輪駆動)のジープは、実質的に最初のオフロードSUVになります。
終戦後には、日本のメーカーもトヨタ「ランドクルーザー」、日産「パトロール」(後のサファリ)、三菱「ジープ」などを用意。1982年には三菱「パジェロ」が発売され、オフロードSUVでありながら、洗練された内外装などが注目されて人気車になりました。
1980年代には、トヨタ「ハイラックスサーフ」、日産「テラノ」なども加わり、オフロードSUVが好調に売れています。
とくに主力商品のパジェロは、1991年に2代目にフルモデルチェンジされると、売れ行きをさらに伸ばしました。
パジェロは1992年に約8万4000台(1か月平均で約7000台)販売していますが、これは2019年にSUVでもっとも多く販売されたホンダ「ヴェゼル」の5万5886台を上回っています。
売れ筋となるパジェロのロングボディ(5ドアボディ)に2.8リッターディーゼルターボを搭載した「エクシード」の価格は、370万円前後に達しました。
そこに各種のパーツを装着して総額400万円以上のパジェロが1か月に7000台も売れたのですから、メーカーや販売会社は大喜びでした。
ところが、パジェロのようなオフロードSUVの好調な売れ行きは、長く続きませんでした。一番の原因は、クルマの性格と実際の使われ方に食い違いがあったことです。
オフロードSUVは悪路向けに開発されているので、ボディが重く、重心も高くなります。例えば、大ヒットした2代目パジェロのロングボディは、車両重量が2100kgから2200kgに達して、売れ筋のディーゼルターボは加速が緩慢でした。
V型6気筒3.5リッターガソリンエンジンは活発に加速しましたが、10・15モード燃費は8km/Lから9km/Lだったので、燃料代が高額になります。
さらに、高重心の重いボディでは、舗装路の操舵感が鈍くなったり、高速道路や峠道で安定性に不満が生じることもあります。パジェロのロングボディの最小回転半径は、5.9mと大回りで、車庫入れなどもしにくかったです。
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