爆騰で希少GT-Rも次々流出… 旧車イジメ日本と旧車優遇な米国の違い
近年、米国を始めとする海外では1980年代から1990年代に日本で発売された国産スポーツカーが人気を博しています。その理由には「25年ルール」というものが存在しました。いったい、どのようなルールなのでしょうか。
近年、かつて絶大な人気を誇った日本のスポーツカーが海外で高値で取引されています。とくに、米国では「25年ルール」と呼ばれる規制の影響によって、貴重な車両が次々と米国に流出しているというのです。25年ルールとは、どのようなものなのでしょうか。
日本の中古車買取価格は、ひと握りの人気車種を除いて年数が経つほど大きく価値が下がります。しかし、近年では購入時よりも高く売れるモデルが一部のスポーツカーを中心に存在します。
一般的には、フェラーリやポルシェ、ベントレーなど高級車のビンテージカーやクラッシックーが高値で取引されるイメージがあります。
しかし、近年では1980年から1990年代の国産スポーツカーの残存台数が激減していることから、中古車市場で高値で購入する人が多く、販売価格がどんどん高騰しているのです。
価格が上がる理由はさまざまですが、そのひとつに国外への流出があります。米国での日本車人気は根強いものがあり、「JDM(Japanese Domestic Market)」と称される日本国内仕様などを好む独自の文化や市場が急速に伸びていることも背景にあります。
また、米国には前述の25年ルールと呼ばれる「クラシックカー登録制度」があり、生産から25年以上経過しているクルマについては排ガス検査なしで輸入できるという制度があります。
この25年ルールと呼ばれるクラシックカー登録制度は、米国NHTSA(米・高速道路交通安全局)が、初年度登録から25年経過した車両に対し、ヴィンテージ品としての価値を認めて、並行輸入車に対する試験を免除するという規則です。
米国に存在する25年ルールという制度のなかで2018年頃から話題になっているのが、1990年代の日本製スポーツカーで左ハンドルの設定が無く、米国に輸出されることが無かったクルマ達です。
クルマの通行区分が右側通行の米国を含む北米では、右ハンドル車の走行は危険だということで、輸入は認められていません。
しかし、北米で一般ユーザーが乗れないはずの右ハンドル車が、25年ルールによる緩和措置で、1980年から1990年代に登録された日本の高性能スポーツカーを中心に、北米に流れているのです。
とくに、1989年に登場したR32型からはじまる2.6リッター直列6気筒DOHCターボエンジン(RB26DETT型)を搭載した日産「スカイラインGT-R」を筆頭に、右ハンドルスポーツカーの人気が急上昇しています。
スカイラインGT-R(R32型)は歴代モデルのなかでもっとも販売台数が多いクルマで、国内の中古車市場でも比較的潤沢に流通していましたが、米国25年ルールやJDMの後押しにより、大量に米国へ流出しているのです。
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25年ルールの適用でハンドルの位置についての規制が解かれますが、それ以外の規制も緩和されます。
米国では車検の代わりに「スモッグテスト」と呼ばれる排出ガス検査がありますが、そのような検査もスルーとなり、シートベルトが装着されていない旧車でも大丈夫です。
また日本の中古車は、走行距離が米国などで使用されていた車両と比較にならないほど短いことも、北米人気が上がっている理由だといいます。
現状では、中古とはいえないほどの良い状態が日本車の特徴だといえるほか、日本国内では旧車を所有・維持しにくい環境があることも、北米流出を加速させているようです。
冒頭の画像はBNR32ではなくスカイラインオーテックバージョン(4ドア)。
バンパーの彫り込み様ペイントがその証し。
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。