超ロングセラーだった日産の名機! A型エンジン搭載車5選

かつて「大衆車」と呼ばれた日産のコンパクトカーに搭載されたエンジンといえば、A型です。いまでは見かけなくなったOHVエンジンながら軽快に吹け上がり、当時はモータースポーツでも活躍しました。そこで、日産のA型エンジン搭載車を5車種ピックアップして紹介します。

日本のモータリゼーションを加速させた日産の「A型」エンジン

 自家用車の普及と高速道路網の整備が加速した1960年代に、さらなる自家用車の普及を狙った日産は、1リッターエンジンを開発。低価格のエントリーモデルであるダットサン「サニー」に搭載し、1966年に発売しました。

A型エンジン搭載車のなかでも美しいシルエットの「チェリー」
A型エンジン搭載車のなかでも美しいシルエットの「チェリー」

 サニーに搭載された「A型」エンジンはオーソドックスなOHVエンジンでしたが、軽量でコンパクトに仕立てられていたことや、本来、高回転が苦手なOHVを、プッシュロッドの短縮などにより軽快に吹け上がる高回転型に改良したという特徴があります。

 その後も排気量を拡大し、排出ガス規制にも対応させながら長きに渡って生産された、日産の名機「A型」エンジンを搭載したクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●初代サニー(B10型)【A10型】

A型の長い歴史は初代「サニー」から始まった
A型の長い歴史は初代「サニー」から始まった

 1966年に日産は、最大のライバルであるトヨタ「パブリカ」よりも1クラス上となるFRコンパクトカー、初代ダットサン「サニー」を発売しました。

 搭載されたエンジンは新開発の1リッター4気筒OHV「A10型」で、ボア73mm×ストローク59mmとし、当時の自動車用エンジンの主流だった、吸気ポートと排気ポートが隣接するターンフローのシリンダーヘッドが採用されました。

 ターンフローはシリンダーヘッドを小型化できることと、排気熱でキャブレターの霧化を促進でき、低回転域でのトルクを向上させられるメリットがあります。

 初代サニーは当初、2ドアセダンのトランスミッションは3速MT車のみでしたが、翌年には4ドアセダンと4速MT車の「スポーツ」シリーズが追加され、クラス初となる3速ATもラインナップ。

 さらに1968年には2ドアクーペも追加されるなど、多様化しはじめたニーズにも対応し、大衆車としての責務を担いました。

●初代チェリー(E10型)【A12型】

日産初のFF車としてデビューした「チェリー」
日産初のFF車としてデビューした「チェリー」

 日産は初代サニーと平行して、より小さなボディでありながら広い室内空間を実現できるFF車の開発を進めていました。

 そして1970年にA型エンジンを横置きに搭載したFFレイアウトのコンパクトカー「チェリー」を発売。

 サニーよりも1クラス下の車格で、軽自動車からの乗り換えや初めて自動車を所有する若者をターゲットとしたモデルでした。

 丸みを帯びた個性的なスタイルを持つ2ドア/4ドアセダンで、搭載されたエンジンは1リッターの「A10型」と、スポーティな「X-1」にはボア73mm×ストローク70mmの1.2リッターツインキャブ仕様の「A12型」をラインナップします。

 1971年には個性的なシルエットを持つ2ドアクーペが追加され、翌年には日産ワークスとしてレースにも参戦。レースには不向きといわれていたFFレイアウトながらも、善戦しました。

 そして、1973年にはクーペにオーバーフェンダーを装着した「X-1R」を発売。同じくオーバーフェンダーを装着していた「スカイライン GT-R」のイメージもあり、若者たちに人気となりました。

●初代パルサー(N10型)【A14型】

新時代のFF世界戦略車という重責を担った初代「パルサー」
新時代のFF世界戦略車という重責を担った初代「パルサー」

 1978年にチェリーの後継車としてデビューした「パルサー」は、欧州市場や北米に投入するFFの世界戦略車として開発されました。

 発売時のボディは4ドアセダンからスタートし、後に3ドアハッチバックやガラスハッチを備えた3ドアクーペ、バンを追加。

 横置きに搭載されたエンジンは「チェリーF-II」と同じく1.2リッターの「A12型」と、ボア76mm×ストローク77mmで1.4リッターの「A14型」で、発売から半年後には電子制御燃料噴射仕様(EGI)が追加されるなど、サニーと同様にアップデートが続けられます。

 そして、1981年のマイナーチェンジ時に、後継となる1.3/1.5リッター4気筒OHCの「E13型/E15型」エンジンに換装され、1982年には2代目へとモデルチェンジされました。

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6件のコメント

  1. A型エンジンを語るなら、ルーツはオースチンA型と明記すべきだ

    • オースチン派生なのはA型より前のC型と初代E型でいかんせん古過ぎ。A型が参考にしたと言えるのはオペルのエンジンで、アルミブロックで開発がスタートしたのが鋳鉄ブロックに変更になった。

  2. 70年前半から10年ほどいとこがプライベーターで、サニーで鈴鹿や中山でレースに出場してました。辞めた後はサニートラックにエンジンや足回りを移植し乗ってました。大阪の梅田チューンのA12改1300ccのエンジンはよく回ってました。後に通勤用にとシングルキャブに変えて自作の金管楽器の様なエアーファンネルつけ乗ってました。走り良し燃費良しで素晴らしいエンジンと褒めてました。

  3. サニー1000でデビューした時には3ベアリングで、1970年にサニー1200へ発展した時には5ベアリングのA12型へ進化した日産A型エンジン―8000回転でもそれ以上でも、ほぼ無限に回るのではないかという好エンジンだった!
    愛知機械工業が手掛けるエンジンは最近の軽自動車デイズ/eKワゴン用のBR06型に至るまで軽快でケジメあるトルク感を伴うユニットであるのは興味深いですが、A型に話を絞ればロングストロークのA14からA15になった頃には排ガス規制の関係もあるのか高回転域でのフリクションや振動を増してしまったのに残念さを感じたものです。

  4. OHCよりよく回るOHV、とにかく気持ちの良いエンジンでした。自分は、サニーGX以降何台かA型系は乗りましたが、素晴らしいの一言で、日産のクルマを10台以上乗り継ぐ要因となりました。反して、L14なんていう最悪のコンパクトエンジン作ってしまうのも日産らしいところ(笑)

  5. 日産がA110サニーやチェリーで英国のツーリングカーレースに遠征して、1300OHVでエスコート1600(DOHCのコスワースBDA=DFVの方バンク!)を追い回したのも記載して欲しかったな。
    国内ではトヨタはスターレットのエンジンDOHCにしないと勝てなかったし、CIVICのSOHCエンジンが物になるまで天下が続いたから凄いよね。
    20世紀中1.6㍑以下クラスは日本大衆車の直4エンジンに勝てる所そうそう無かったよね。

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