トヨタ「アルヴェル&ノアヴォク」なぜ人気? 国内ミニバン市場を独占する強みとは
販売チャネル統合で「トヨタの強み」はどうなる?
トヨタは全国に約5000店の販売チャネルを持っており、日産やホンダが約2000店、マツダや三菱、スバルが600店から800店といわれています。
前述のとおり、トヨタ以外のメーカーはすでにチャネルの統合され、日産が2005年1、ホンダは2006年と、10年以上経過しています。そんななか唯一、チャネル制を続けているトヨタはなぜ、いまになって統合化を図るのでしょうか。
2018年11月にトヨタは「未来のモビリティ社会に向け、日本の販売ネットワークを変革」というプランを発表しています。
この大きなポイントが全販売店全車種併売化の実施で、当初は2022年から2025年を目処に、原則的にどの販売店でもすべてのトヨタ車が買えるようにするとしていました。
しかし、2019年4月には直営販売会社である東京地区の4チャネルを統合し、トヨタモビリティ東京株式会社に変更しています。ほかの地域でも計画を前倒しして、2020年5月から全店舗で全車種を扱うとしたのです。その狙いはどこにあるのでしょうか。
販売系列会社の統合について、トヨタ自動車広報部は次のように説明します。
「販売の体制を『チャネル軸』から『地域軸』へと見直し、より地域に密着したディーラーとすることです。
たとえばお客さまの家の隣にトヨタの販売店があっても、いまのチャネル体制ではそこで希望する車種が買えるとは限りません。
それでお客さまに不便をおかけすることもあると思います。それを解消できるのが、まずはお客さまのメリットとなります」
トヨタのディーラーであれば、どの店舗でも希望する車種が買えるという点は、大きなメリットです。家からもっとも近いディーラーを選べば購入時だけでなくメンテナンスのときも便利だといえます。
一方で、統合を目前とする販売会社のひとつである東京トヨペット上馬店の副店長は、4チャネルの違いや変わる点について、次のように話します。
「元々、各社の棲み分けは簡単にいうと『トヨタ(シニアやRV)』、『トヨペット(ミドル)』、『カローラ(ヤング)』、『ネッツ(ヤング)』といったカテゴリで、すこし離れた立ち位置に『レクサス』がいました。
最近では、ハイブリッド車の併売も増えてきて、いままでの棲み分けも崩れてきている感じです。
また、現場の体制としては、実際にやってみないと分からない部分が多いです。ただし、お客さまにとってはすべてのトヨタ車を選べるほか、サービスも受けやすくなるなどメリットは大きいと思えます」
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2019年11月の登録車販売台数ランキングでは、上位にトヨタ車の多くがランクイン。「プリウス」や「アクア」といったハイブリッド専用車や、「ルーミー/タンク」、「アルファード/ヴェルファイア」、「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」といった兄弟車が見かけられます。
しかし、販売チャネルの統合、全店舗全車種取り扱いといった先のラインナップの整理が実現すれば、これまでの「トヨタの強み」が薄れてしまうかもしれません。
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