新型フィットは成熟進化! 小型車市場でヤリス・ノートに勝てるのか
視界や使い勝手は、現行型と比べてどう?
取りまわしは、現行型に比べて斜め前方の視界が向上しました。前側のピラー(柱)を2本設けて、衝撃を吸収する太いピラーを手前に寄せています。これにより窓枠が細くなり、斜め前の三角窓を含めて視界が向上しました。車両の四隅も分かりやすいです。
ワイパーは低い位置で収納され、視界を遮らず、サイドウインドウの下端を水平基調にしたため、斜め後方も現行型に比べて見やすくなっています。
インパネは水平基調のデザインで、ハンドルは2本スポーク。スイッチ類は比較的高い位置に備わっています。質感やデザインの評価はユーザーによって異なりますが、視認性と操作性は良いです。
前席の座り心地は、コンパクトカーのなかでは快適な方といえ、サイズに余裕があり、背もたれの下側と座面の後方など、体重の加わる部分をしっかりと造り込んでいます。
後席は現行型と同様に足元が広く、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半です。
ミドルサイズのセダンやSUVと同等の余裕があり、後席の背もたれを調節する機能は省かれ、現行型の寝かせた角度で固定しています。
一方で乗降性は、現行型に比べて少し悪化した印象を受けます。後席側のドアの開口部は現行型に比べると、上側を10mm下げたからです。
それでも全高を立体駐車場に入庫可能な高さに抑えたコンパクトカーでは、乗り降りは容易な部類には入ります。
燃料タンクは、現行型と同じく前席の下に搭載され、荷室は床が低めで積載容量は大きいです。
以上のように新型フィットの特徴は、基本的には現行型とほぼ同じといえます。
全長は4m以下のため、街中で運転しやすく、立体駐車場の利用性も優れています。その一方で前後席ともに居住性は快適で、荷物も積みやすいです。
これらのメリットを活かしながら、走行安定性、乗り心地、ハイブリッドの性能、安全装備と運転支援機能を兼ね備えるホンダセンシングの性能を向上させています。
販売が好調なコンパクトカーのなかでも、新型フィットはさまざまな機能が優れ、選ぶ価値の高いモデルになっているといえます。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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