唯一無二! 前輪駆動のロータリー車があった!? 古くて珍しいFF車5選
現在、前輪駆動(FF)のクルマが主流となっていますが、かつては技術的な問題からFFのデメリットが目立ってしまうクルマもありました。そこで、各メーカーが開発した初期のFF車を5車種ピックアップして紹介します。
FF車が普及する前はどんなモデルがあった!?
コンパクトカーやミニバン、SUVなど、人気があるクルマのほとんどが前輪駆動(以下、FF)を採用しています。
FFはフロントエンジン・フロントドライブの略ですが、クルマの前側にエンジンとトランスミッション、デファレンシャルギアをレイアウトして、ハンドル操作による操舵と駆動の両方をフロントタイヤが担うものです。
昔はエンジンをフロントに配置してリアタイヤを駆動するFRが多かったのですが、主要部品を一か所にまとめることで室内空間や荷室容量が確保できるFFは、スペース効率が優先されるコンパクトカーを中心に1970年代後半から日本でも広まりました。
ほかにも、FFにはメリットがありますが、反面、ハンドル操作が重く最小回転半径が大きくなる、アクセル操作によってはハンドリングに影響するなどのデメリットもあり、当初はFFを敬遠する人もいました。
しかし、現在では多くの技術的課題は改善され、駆動方法に拘るドライバーは少数となっています。
いまや爆発的に普及したFFですが、黎明期はどんなクルマがあったのでしょうか。そこで、各メーカーが開発した初期のFF車を5車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ルーチェロータリークーペ」
1966年にデビューした4ドアミドルクラスセダンマツダ「ルーチェ」は、欧州車のようなスタイリッシュなデザインで人気となりましたが、1967年の第14回東京モーターショーには、ルーチェとは異なる低く長い独特のプロポーションの2ドアハードトップクーペ「RX87」を展示。
1969年に「ルーチェロータリークーペ」として発売されました。
搭載されたパワーユニットは最高出力126馬力を発揮する1.3リッター2ローターのロータリーエンジン「13A型」で、ルーチェはFRでしたがルーチェロータリークーペはFFを採用。現在までで唯一無二のFFロータリー車です。
エンジンを縦置きとしたことで、ロングホイールベースによるエレガントなスタイルを実現し、公称最高速度190km/hの動力性能と美しいスタイルから、キャッチコピーは「ハイウェイの貴公子」でした。
ところが、大卒の初任給が約3万円だった時代に車両価格は145万から175万円と、非常に高価なクルマだったため販売は低迷し、1972年生産を終了。
なお、この13A型ロータリーエンジンは、2代目ルーチェ以降に搭載されていた「13B型」エンジンとは構成部品に互換性がなく、マツダも部品供給には熱心でなかったため、残存するルーチェロータリークーペをクラシックカーイベント以外で目にすることは、滅多にありません。
●日産「チェリー」
1970年に日産初のFF車として発売された「チェリー」は、「サニー」よりも小柄で、軽自動車からの乗り換えや初めてクルマを購入する層をターゲットとしていました。
当時のサニーが直線的なラインで構成されたボディに対し、チェリーは丸みの強い個性的なデザインで、コンパクトサイズのボディにサニーと同じエンジンをフロントへ横置きに搭載していました。
チェリーのエンジンは1リッターと1.2リッターの直列4気筒OHVエンジンで、A型という型式で呼ばれる名機です。
ボディバリエーションは4ドアセダンおよび2ドアセダンでしたが、1971年に、より若々しくスポーティなクーペを追加。
なかでも「クーペ1200X-1」はキャブレターをSUツインキャブ仕様に変更して1.2リッターOHVエンジンながら80馬力の最高出力を絞り出していました。
しかし、操縦性はFF独特の癖があり、アンダーステアが強いクルマだったため、コーナーリングは得意ではなかったようです。その対策として、1973年には太いタイヤを装着するため、オーバーフェンダーが装着された「クーペ1200X-1R」が登場しました。
ルーフからテールまで丸みを帯びた、斬新で独特なハッチバックデザインは当時の若者たちを魅了して人気となっただけでなく、レースでも活躍。
初代チェリーで培ったFFのノウハウは、後継の「チェリーF-II」や初代「パルサー」へと受け継がれていきました。
●ホンダ「シビック」
ホンダは「N360」や「ライフ」「1300セダン/クーペ」などでFFの販売実績が豊富だったなか、1972年にこれまでとは異なる発想のコンパクトカーである「シビック」を発売しました。
ボディの四隅にタイヤをレイアウトしたデザインで室内の広さを確保し、前後を切り詰めたデザインはイギリスの「ミニ」に近く、車名のとおり「市民の」ためのクルマとして開発。
デビュー当初は60馬力の1.2リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載した2ドアセダンで、トランスミッションは4速MTのみの設定と、シンプルなグレード構成でした。
後に「☆(スター)レンジ」と発進用の「Lレンジ」を持つ2ペダルの「ホンダマチック」が追加設定され、クラッチ操作が苦手なユーザー層も取り込みます。しかし、重量配分が前寄りだったため、ハンドル操作が重いとの指摘も多く出てしまいました。
そして1973年には、排出ガス浄化技術「CVCC」を採用した1.5リッター車と4ドアセダンを追加。このCVCCエンジン搭載車はクリア不可能といわれたアメリカの排出ガス規制をパスして、1975年モデルからアメリカにも輸出され、燃費の良い低公害車として多くのホンダファンを生みました。
チェリーの横置きはエンジンの下にミッションを配置した二段式で伝達効率の問題から実際のモデルチェンジである初代パルサーまでがこの方式を採用していた。
まるでバックギヤで加速するような独特の加速音が印象的でしたね。
エンジンとミッションを共に横置きにしたFFと比較して幅をコンパクトにできるメリットはあったものの日産も次世代からは横置きエンジンとミッションの方式に切り替えましたね。
ターセルとコルサの縦置きFFは初代レジェンドなども採用したりで実はこの方式が重量配分でも理想のFFではないかな?と私は今でも思っているのですが何処のメーカーもコストと生産効率優先で止めてしまいましたね。
そもそもFFがアンダーと言うより全軸より前に駆動メカが集中していることがアンダーステアをより濃いものにしてるとは思いますが今の新車は冒険心に欠けると言うか?税制やローンを組みやすい方向に舵取りした車ばかりでつまらないですよね