中国人は日本車が好き? 中国市場での日本車事情とは
日本の自動車メーカーも参入している中国の自動車市場。政治面では未だ溝のある日中関係ですが、中国の人々は、日本メーカーのクルマをどのように思っているのでしょうか。
港湾都市として発展した広州市
いまや、世界最大の自動車市場な中国です。日本の各自動車メーカーも、現地に中国企業との合弁会社を設立して中国市場に参入し、中国人のニーズに合わせたクルマを製造・販売しています。
政治面では未だ溝のある日中関係ですが、中国の人々は、日本メーカーのクルマをどのように思っているのでしょうか。
中国は広大な国土と長い歴史があり、北部、南部、内陸部など、地域ごとに文化や民族性が異なる特徴を持つことから、一言で語るのは困難です。今回は、広東省広州市を中心に紹介します。
広州は、中国沿岸部の南に位置する、北京、上海に次ぐ第3の都市です。海上輸送の要所として発展し、中国国外のさまざまな文化も混合してきた歴史があります。
そんな広州を本拠地とする自動車メーカーには、まず広州汽車集団が挙げられます。2005年に現在の持株会社となり、グループには合弁会社の広汽トヨタと広汽ホンダ、広汽三菱を持ちます。
とくに広汽トヨタと広汽ホンダは広州に生産拠点があり、地元地域での認知度は高いようです。
広汽トヨタでは、「カムリ」、「C-HR」、「ハイランダー」、「レビン」、「ヤリス」を生産・販売。レビンは、中国市場専用車としてその名前が復活しました。姉妹車であるカローラ(天津一汽トヨタ生産)が高級モデルであるのに対して、レビンはスポーティモデルとして位置付けられています。ベースグレードは11万5800元(約173万7000円)で、ハイブリッド仕様も用意されています。
一方、広汽ホンダは「フィット」、「シティ」、「クライダー」、「アコード」などを生産・販売するほか、「ヴェゼル」をベースとした中国市場専用のEV「VE-1」を広汽ホンダ独自ブランドである「理念」から2019年10月に発売しています。
また、湖北省武漢市を本拠地とする東風汽車集団と日産の合弁会社「東風汽車有限公司」の生産拠点も広州にあり、広州市民にとって日本の自動車メーカーは身近な存在といえるでしょう。
では、広州汽車のお膝元である広州では、日本のクルマはどのように受け止められているのでしょうか。
広州における日本車の印象について、現地に住む中国人の女性は、以下のように語ってくれました。
――広州の人々に、日本のクルマはどのように受け止められていますか。
広州では、トヨタもホンダも人気があります。トヨタであれば「カローラ」、ホンダは「シビック」でしょうか。結婚して子供ができたらカローラとか、家族像のイメージがあります。20万元(約300万円)以内で買えるというのも魅力ですね。
――日本のメーカーはEV(電気自動車)も投入していますが、EVについてはどうお考えでしょうか。
EVについては政府主導で推進されてはいるものの、街を走っている電気自動車の8割以上は、「Caocao」などのライドシェアサービスで導入されているものだと感じています。
中国には新興のEVメーカーが多数あり、広州にも「小鵬汽車(シャオペン)」がありますが、車両価格が高く、最新のものに興味のある一部の富裕層だけが買っている印象です。
――日本メーカー以外のクルマの評判はどうですか。
欧州メーカーの高級車は、富裕層には人気があります。ただ、広州の人は中国人のなかでも見栄えだけでなくコストパフォーマンスを重視するといわれており、日本人と感性が近いと思います。
北京や上海、あるいは内陸の都市だとまた文化が異なりますが、そういう意味で、多くの広州人にとってトヨタやホンダのような日本車はマッチするのかもしれません。
※ ※
広州は、中国のシリコンバレーとも呼ばれる深センも近く、そこに住む人々は新しい文化や技術への好奇心があり、外国人や外国資本への偏見も少ないといわれています。
日中間には、未だ政治的な溝はあるものの、コストパフォーマンスの高い日本のクルマは、広州の人々に広く受け入れられてるようです。
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